シリア発「樽爆弾」が紛争地へ拡散中

2014.6.8


 military.comによれば、シリアで使われている樽爆弾が他の国へと波及しています。

 樽爆弾がシリアで一般住民に投下された後でイラクとスーダンで使われたという新しい証拠は、不安定な多くの国で政府がそれらを受け入れるという懸念を引き起こしました。

 「空飛ぶIED(簡易爆弾)」といわれる樽爆弾は一発で建物の列を一掃する力があり、予定外の犠牲者を含めた多くの人を殺せます。「the Washington Institute for Near East Policy」のアナリスト、マイケル・ナイト(Michael Knights)は「多くの政府派対武装勢力戦で統制を失っているというのが妥当です」「彼らは彼らがシリアで見るものに注目しており、空軍力が違いの理由だと感じています」と言いました。

 樽爆弾は燃料、化学物質、爆発物、近年は金属スクラップを詰めた大型のコンテナに対する包括的な言葉で、大半はヘリコプターや航空機から目標に投下されています。しかし、樽爆弾はイスラエル近辺でもみられます。

 樽爆弾は、空から目標を爆撃するための航空機を持っているのに、ミサイルのような通常兵器をライバルや敵に発射する弾薬や資金が限られている政府を惹きつけています。

 人権監視団体によれば、スーダン軍は、南部が離脱して、新しい国を作った2011年末から樽爆弾を反政府の地域に投下し始めています。2012年12月、スーザン・ライス国連大使(Susan Rice)は、報告された攻撃に深刻な懸念があると言いました。

 シリアでは、アサド軍が2012年に樽爆弾を使った作戦を反政府派と武装勢力が支配する地域に使い始めました。水曜日、国務省は樽爆弾がアレッポの近郊3ヶ所を攻撃した証拠を報告しました。

 先月、イラク軍が4〜10個の樽爆弾をスンニ派が支配する、シリア国境に接するアンバル州の武装勢力の拠点に投下したという新しい証拠が米当局者にイラク政府にアメリカの支持と支援をすぐに止めさせたり、危険にさらすと警告しました。米政府とイラク政府の当局者4人は攻撃はアメリカの要請から数日で止まったと言いました。しかし、今週、ファルージャでインタビューしたイラク人数人は、爆撃は続いていると言いました。彼らは攻撃は普通、夜に行われるので、ビデオ撮影ができないと言いました。ファルージャの武装勢力は地上で爆発しなかった樽爆弾20個を発見し、武器を作るのに使っていると自慢しました。ファルージャの住民、アーメド・アブドル・サラム(Ahmed Abdul-Salam)は、先週、樽爆弾が彼の小さな酪農工場を破壊したと言いました。別の住民は、樽爆弾4発が4月初めの1日で住宅地の近くに落とされたと言いました。

 米当局者はイラク軍の攻撃について独自の証拠がないことに注意するよう指摘します。しかし、ジョー・バイデン副大統領(Vice President Joe Biden)は、5月16日の電話会談でアル・マリキ首相(al-Maliki)に、イラクの対テロ作戦は民間人を保護し、法を守るよう要請しました。同時に、国連安保理は木曜日、イラク政府はテロリズムと戦う時に国際的な人権と人道法に従うことを思い出させる声明を出しました。イラク政府は無差別に殺す爆弾を使っていることを否定しました。

 駐米イラク外交官のルクマン・ファイリー大使(Lukman Faily)は、イラク政府はファルージャ、ガルマ(Garma)、サクラウィヤ(Saqlawiyah)に先月、2週間にわたり投下されたという樽爆弾の報告を調査していると言いました。「我々の調査は、無差別的な爆撃はなかったことを示しました」とファイリー大使は言いました。「我々はそれらが用いられた証拠を見ています。しかし、我々が言うのは、それらは明らかに政府が出資した、無差別な樽爆弾ではないということです。違います。政府として、我々はこうした兵器を使いません。シリアで起きた爆弾の問題で、人々はイラクと結びつけています。我々はやっていません」。

 シリア内戦で使われた武器を分析するイギリスの弾薬の専門家、エリオット・ヒギンズ(Eliot Higgins) は、アンバル州の爆発した樽爆弾の残留物を、工場で同じように生産されたらしく、これは武装勢力ではなく、政府が作ったらしいことを意味すると説明しました。

 事件に詳しい当局者は、イラク軍は巨大な爆発物のコンテナをアルカイダの分派、 イラクとレヴァントのイスラム国家(ISIL)が拠点とする地域に投下したのかも知れないと言います。民間人に対して攻撃しなかったことを意味するため、区別は重要だと彼らは言います。

 イラク人はこの数ヶ月、アンバル州でISILを打倒することに失敗して苛立ち、米政府に、無人攻撃機を含んだ、より多くの対テロ支援を要請しました。オバマ政権は春に無人機の要請を却下しましたが、ヘルファイヤミサイルを含んだ武器と弾薬を与えました。

 ファルージャは武装勢力の拠点で、2004年には米軍との2つの激戦地となりました。現在、ISILはファルージャを支配し、通りや建物は手製の爆弾で占められ、イラク軍は通常入れないと考えられています。住民の90%は街から逃げました。

 人権団体の研究者、エリン・エヴァーズ(Erin Evers) は「いまイラクで起きていることは、間違いなくシリアで始まったのです」と言いました。「私がマリキ首相なら、お隣のアサドを見て、軽いお仕置きではなく同じ戦術を使い、領地を得ます。その結果として、彼が『なぜダメなんだ?』というのも当然です」。


 記事は一部を紹介しました。

 スーダン軍が空爆をしていることは当サイトでも紹介していました(過去の記事はこちら)。それに使われた武器が樽爆弾であったことは知りませんでした。

 これもシリア内戦に早く対処しなかった結果です。かつて、ソマリアで使われたIEDが後に、イラクとアフガニスタンで使われるようになりました。こうした攻撃手段の拡散は防げません。

 というか、これが戦いの本質です。SF映画『アバター』でも、遠隔惑星で劣勢になった人類は、鉱物採掘用の爆薬をシャトルから投下して、現地住民を抹殺しようとします。これも樽爆弾と類似する攻撃方法です。

 歴史上、劣勢になった側は、既存の物を利用して、粗雑な武器を作ることがあるのです。効果的なのはハイテク兵器だけではありません。

 我々が肝に銘じなければならないのは、こういう戦い方の性質は変わらないということです。それを知らずに軍を派遣すれば、結果は我々がイラクやアフガンで見たものと同じだということです。


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