バグダールの両親への脅迫でFBIが警戒

2014.6.10


 military.comによれば、バウ・バグダール軍曹(sergeant Bowe Bergdahl)の両親は、息子がアフガニスタンで監禁から解放されてから、脅迫を受けたと言いました。

 バグダールを自由にするためにキューバのグアンタナモベイ収容所からタリバンの囚人を解放する決定は、反対する者たちからの批判を受けました。ある者はバグダールを脱走者と呼び、別の者はなぜ米兵1人のためにタリバン5人を釈放したのか疑問だと言い、他の者はオバマ大統領が議会の承認なしにテロリストと交渉したことに反対します。反発はアイダホ州、ハイリー(Hailey)に住むバグダールの両親への脅迫となりました。FBI特別捜査官、ウィリアム・フェーサー(William Facer)はCNNに「我々は州と地元のパートナーと共に活動し、これらの脅迫を深刻に受け止めています」と言いました。


 タイトルには「Death Threats」と書いてありますから、バグダールの両親は「殺す」と脅されているのです。

 世の中には単純な人たちがいるものです。

 2004年に日本人がイラクで人質になった時、私が彼らを擁護する見解を発表したら、感情的な意見が何通か届きました。そのどれもが、事態を分析する態度よりも、自分の感情を優先させたものでした。まったく馬鹿じゃないのかと、思ったものです。

 松本サリン事件でも、マスコミ報道を鵜呑みにした連中が被害者を脅す愚挙に出ました。前にも書いていますが、慎重に初期報道を分析するだけで、被害者の中に犯人がいないことは分かったはずです。多くの人は、考える前に誰かを悪者にしたがるものなのです。

 それも、危機的状況でそういう行動をする人たちが増えます。かつて連合赤軍は警察に追われて、山の中に篭もり、そこでこれまでの活動について総括する内に、「反省」の名目で仲間をリンチにかけ、半数を殺すという事件を起こしました。それは、本来、人手が欲しいときに仲間を殺すという、戦略的に矛盾した行動でした。しかし、これは連合赤軍だけでなく、我々の間でも起こり得るものなのです。

 アメリカの場合、拳銃が簡単に手に入るという環境があり、それが問題を深刻にしています。この件で、FBIが本当に動くことがないことを願うばかりです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.