中露が4度目の国連安保理決議に反対

2014.5.23


 BBCによれば、ロシアと中国はシリア内戦を国際刑事裁判所(ICC)へ委ねる国連安保理の決定を拒否しました。

 60ヶ国以上の国が、紛争双方が関わった戦争犯罪を調査するフランスが起草した要請を支持しました。フランス代表は拒否権行使はすべての犯罪を隠蔽すると言いました。しかし、ロシアは危機を政治的に解決する努力を傷つける、人目を惹く宣伝活動と呼びました。中国とロシアがシリア内戦に関連した決議を妨害するのは4回目です。


 記事は一部を紹介しました。 いまは時間がないので簡単にします。

 国際刑事裁判所はまだ歴史の浅い新しい試みです。制度としては、今後の国際社会に不可欠とはいえ、現在のシリア内戦のような激しい戦いの中で成果をあげるのはむずかしいでしょう。調査を行い、戦争犯罪に関わった者を特定し、被告とすることはできても、そこで活動は頓挫することになるでしょう。被告を逮捕することが非常に難しいからです。また、アメリカも本格的にICCを支援していない点も問題です。国際問題に首まで使っている米軍の要員がICCに起訴されることを防ぐためです。

 なにより、現在のような国際環境では、完全に中立的組織を作ることが難しいという問題があります。それは弁護士、検察官、裁判官を兼ねるようなものなのです。それでも、世界を前へ進めるためには、ICCに訴える手法も無駄ではありません。

 中露がこれに反発するのは、現状から言って当然です。

 しかし、こうした矛盾を克服しない限り、世界に未来はないのも事実です。


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