南スーダン反政府派が北部で激戦

2014.4.23


 BBCによれば、南スーダンの反政府派は複数の地域で激戦を行っていると政府軍広報官が言いました。

 上ナイル州(Upper Nile State)北東部とジョングレイ州(Jonglei State)の東で進行中の戦いがあると、フィリップ・アガー(Philip Aguer)は言いました。先に、反政府派は先週、ユニティ州(Unity State)の石油拠点、ベンティーウ(Bentiu)を支配したあとで、民間人数百人が殺されたという国連の報告を否定しました。1月の停戦協定は暴力を止めることができませんでした。

 アガー氏は政府軍はベンティーウの損失の後で、軍を再編成するために、ユニティ州(Unity State)のマヨム(Mayom)から撤退を強いられたとも言いました。「反政府派が達成した勝利は一時的なものです。彼らがベンティーウから追い出されるのは時間の問題です」と彼はBBCのアフリカ向け番組で言いました。

 しかし、彼は反政府派が活発な戦線が他にいくつかあると言いました。先週、上ナイル州北東のレンク(Renk)は反政府軍の攻撃を受けました。「それは国際的に非難されるべきです。夜間に住宅地を無差別に砲撃する戦争はありません。それは大惨事と恐怖を生みます」「私はレイク・マシャル(Riek Machar)の軍隊ほど人を大勢殺そうとする運動を見たことがありません」。

 火曜日の朝、ジョングレイ州のドゥク郡(Duk county)の複数の場所で、反政府派の攻撃を受けた激戦があったとも軍広報官は言いました。政府軍が彼らに反撃し、撃退しました。

 反政府軍司令官、ルル・ルアイ・コアング准将(Brig Lul Ruai Koang)は、反政府軍兵士はベンティーウで一人も民間人を殺していないと言いました。彼は、政府軍とその同盟者が、紛争が部族戦争にみせかけるために犯行を犯したと示唆しました。


 記事は一部を紹介しました。

 政府軍が公に反政府派の進展を話している内は、まだしも、状況は悪くありません。ここで語られている内容は、さほど深刻ではない、首都ジュバに自衛隊を派遣している日本にとっては、まだ差し迫った脅威とはいえないということです。しかし、状況がどうなるかは分かりません。実際に、近日中にベンティーウから反政府派が駆逐されるかは、目を開いて見る必要があります。それができないようなら、政府軍が不利な状況であり、その頃には公式の情報も出にくくなります。政府軍は不利な状況を隠そうとするからです。そのため、急にジュバで反政府軍と政府軍の戦闘が始まって、驚かされるといったことが起きるかも知れません。

 また、戦闘が起きているのが、本当に北東部だけかも問題です。予想以上に反政府派が南下している可能性は、常に考えなければなりません。

 コアング准将の言は、むしろ、ベンティーウでの虐殺を裏づけています。この虐殺があったことは、国連高官も確認しており、いまさら隠せるものではありません。

 この国に、現在の国際平和協力法の枠内で自衛隊を派遣したこと自体が間違いです。派遣を決めた民主党政権が間違っており、派遣を取り止めようとしない自民党政権も間違っています。同法による参加5原則は次のとおりです。

  1. 紛争当事者の間で停戦合意が成立していること。
  2. 当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること。
  3. 当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
  4. 上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
  5. 武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。

 派遣決定時に存在した停戦合意はすでに破られ、1月に改めて決めた再度の停戦合意も破られています。平和維持隊はすでに攻撃を受けており、平和維持隊が存在することを反政府派は認めていないように思われます。平和維持隊は中立的立場を堅持していますが、それは次第に難しくなりつつあります。今の段階で、派遣隊が無事に撤収できる可能性は残されています。武器使用は、今後、必要最小限では済まなくなる可能性があります。

 つまり、3つの撤収条件のうち、1と2はすでに崩壊しています。3がなんとか成立している程度なのです。派遣決定時に、こうなる可能性は十分に読めたと、私は考えます。しかし、現在の日本政府は、軍事的無知を押し隠し、あたかも軍事的に正しい判断出るかのように装いながら、自衛隊の派遣を行っています。この傾向は安倍総理がさらに推し進め、今後も与野党問わずに増加すると予測しなければなりません。


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