メルケル首相がウクライナ危機の調停へ

2014.3.5


 alarabiya.netによれば、ロシアのウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(Chancellor Angela Merkel)が提案した、ウクライナ危機で対話を容易にすることを目的とした接触グループを準備することを受け入れました。

 ドイツ政府広報官のゲオルク・ストレイター(Georg Streiter)は「プーチン大統領は、接触グループと調査団をすぐに確立するというドイツ首相の提案を受け入れました」と言いました。

 メルケル首相は、プーチン大統領が受け入れがたいロシアのクリミアへの干渉で国際法を破ったと訴えた日曜日遅くの電話での会話で、この考えを出しました。

 ロシア政府の声明は、プーチン大統領はウクライナの超国家主義者の勢力に対するロシアの行動を擁護し、これまでにとられた手段は完全に適切だと示唆しました。プーチン大統領はメルケル首相の注意を、ロシア国民とロシア語を話す住民に対する容赦ない暴力の脅威へ向けさせたと声明は言いました。しかし、声明はメルケル首相の提案には特に言及せず、ウクライナの社会政治的状態を正常化するために協力することを目的とした二国間と多国間両方の形で協議を続ける必要を強調しました。


 記事は一部を紹介しました。

 ウクライナは第2次世界大戦でドイツが侵攻した地域です。1941年6月22日に開始された「バルバロッサ作戦」は、黒海からバルト海までの全域で地上戦を展開し、その年の年末までに、ウクライナ全土をドイツ領として占領しました。

 そのドイツが、今回のウクライナ危機の調停に乗り出したのです。過去の負の遺産を払拭するための外交戦といえるでしょう。クリミア半島のロシア帰属でウクライナが手を打つのなら、ドイツの調停は大きな役割を果たすかも知れません。これまでも繰り返しているように、ウクライナとロシアが全面対決を望む場合、こうした外交的努力は無力です。しかし、妥協が実現するのなら、両国、特にロシアにとって、好材料となり得ます。

  同じことを、日本政府が、アジア地域でやれるかといえば、限りなく無理でしょう。当事国の反発をかう可能性がとても高い。外務省は、日本に都合のよい国際環境を作ることには熱心ですが、それ以外の活動は低調です。政治家も同様ですし、国民自体の紛争への関心も低いので、政府の失点にすらなりません。多分、ウクライナ紛争を気にしているのは、証券会社や投資家だけでしょう。大きな紛争が起きると、株価が下がり、原油や金の値があがります。

 別の報道では、プーチン大統領が、ウクライナを攻撃するつもりはなく、ロシア帰属も求めないが、帰属を問う住民投票の可能性に言及したようです。クリミア半島をロシアに無血で帰属させたいという意図が、この発言に出ています。

 決起に走ったウクライナ国民がロシア軍やロシア人を攻撃しなければ、大きな被害は出ずに危機が終わり、政治レベルでの協議で決着する可能性がかなり大きくなったといえます。


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