シリア反政府派が北西部で前進

2014.3.27
追加 同日18:00


 alarabiya.netによれば、アル・ヌスラ戦線を含むシリアの反政府派と政府軍がラタキア州(Latakia)のカスタル・マーフ(Qastal Maaf・kmzファイルはこちら)で衝突しました。

 反政府派は、全土でひどく弱体化した反政府派兵士への圧力を弱めることで、この衝突がより多くの政府軍兵士をこの地域に引き付けることを望んでいたと、ラタキア州にいるモハメッド・アブ・アル・ハッサン(Mohammed Abu al-Hassan)と自称する活動家は言いました。「体制を戦いへ殺到させる戦いを始める考えです」「体制は(ラタキアの)海を失うことを想像できません。彼らは増援を送り、それは(他の場所の)圧力を減らすでしょう」。

 別のラタキアに拠点を置くアブ・サラー・アル・ハフアイ(Abu Salah al-Haffawi)と人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdurrahman)も水曜日に戦いが進行中であることを認めました。人権団体はシリアに拠点を置く活動家のネットワークから情報を得ました。「今のところ、攻撃と退却かも、何も確認していません」とアブドル・ラーマンは言いました。シリア政府は何も認めていません。

 カスタル・マーフは反政府派がすでに支配したカッサブから約16kmにあり、北部トルコ国境へのアサド政権の最後の接点で、キリスト教アルメニア教会の信者が主に住んでいます。火曜日に反政府派が占領した沿岸のサムラ(Samra・kmzファイルはこちら)から同じ距離にあり、反乱が始まって以来、地中海付近での最初の小さな足場です。

 火曜日遅く、反政府派は「第45観測所(Observatory 45)」として知られる丘を占領した後、カスタル・マーフへ移動しました。活動家は、第45観測所は反政府派が支配した村があるラタキア山脈を見渡せるので重要だと言いました。活動家はサマラは反政府派が武器を密輸するのに使えると言いました。彼は、背後に山がある砂の海岸は、トルコに近く、水深が深く、数十年間密輸の拠点だったと言いました。トルコ政府はシリアの反政府派が武器だけでなく、比較的自由に移動することを許しています。サマラには港がありません。シリア軍機は海路を使う反政府派を爆撃しようとします。

 カッサブの戦いで、政府派民兵組織「国家防衛隊」の指揮官でアサド大統領の又従兄弟ヒラル・アサド(Hilal Assad)が死亡しました。


 記事は一部を紹介しました。

 昨日の報道に続いて、反政府派が進展したことが分かります。

 第45観測所の位置は正確には分かりませんが、Google Earthの映像(2012年撮影)では、サマラの北側の山頂で工事が行われているのが見えます。ここに造られたのかも知れません。

 これらの地域の占領は悪くありません。しかし、アルカイダ系組織がやった点が気になります。

 ラタキア沿岸を支配できれば、トルコからの補給路が手に入るのも同然です。山が多い地形なので、防衛もやりやすく、それだけにシリア軍を慌てさせるでしょう。シリア軍はレバノン国境を取り戻しつつありますが、その成果が帳消しになりかねないからです。

 イラク国境はイラク軍が武装勢力の移動を嫌がっているので使えません。北西部を反政府派が支配したことは、十分な成果を生んでいません。  南部も反政府派が支配しています。しかし、陸軍の重火器と空軍の爆撃をシリア軍が持っている以上、反政府派が首都を制圧するのは不可能のようです。

 外国が支援して、これらのシリア軍の戦力を破壊すれば、アサド政権は倒れるでしょう。そのチャンスは昨年失われました。さらに、ロシアのクリミア併合のあとは、なおさらやりにくいはずです。西欧ではなく、湾岸諸国がそれを実行するのは不可能なのかと、私は考えています。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.