ロシアがウクライナの隣国で軍事演習

2014.3.14


 BBCによれば、ロシア国防省は、ロケットランチャーと対戦車兵器のような大砲が演習に関与していることを認めました。

 ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク首相(Arseniy Yatsenyuk)は、ウクライナがロシアの侵攻の犠牲者だと、国連安保理に話しました。彼はそれを「21世紀に、戦場で戦車砲と兵士を用いた紛争を解決する方法として、完全に、まったく受け入れがたい」と言いました。しかし彼は「我々は、まだこの紛争を平和的な方法で解決するチャンスがあると信じています」とも言いました。

 ウクライナ東部のドネツク(Donetsk)からの報告では、反ロシアと親ロシアのデモ参加者の衝突で、少なくとも1人が殺され、数人が負傷しました。

 ロシア政府は軍事演習が、ウクライナに近いロストフ(Rostov)、ベルゴロド(Belgorod)、クルクス(Kursk)地域で始まり、3月末まで続くことを確認しました。「主な狙いは未知の地形と試したことがない射程での戦闘訓練任務の能力
に従って、部隊の密着性を多角的にチェックすることにあります」。

 ロシアの同盟国、ベラルーシ(Belarus)は、ロシアが同国の要請により、NATOが隣国のバルチック諸国に増派した後、追加のジェット戦闘機と輸送機を派遣したことを認めました。

 ウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)は、国家安全保障会議で、これはウクライナの国内紛争であり、我々の失策によって起きたのではないが、どちらにしても我々はそれに関与させられた」と言いました。彼は、ウクライナ内の我々のパートナーと友人との関係とヨーロッパとアメリカの別のパートナーとの関係を築く方法を議論したいと言いました。

 欧州安全保障協力機構(the Organisation for Security and Co-operation in Europe: OSCE)は、ロシアが現在、ウクライナの長期間になる可能性がある監視任務に支援を与えたと言いました。OSCEのスイス大使、トーマス・グレミンジャー(Thomas Greminger)はそれを、前向きな進展と呼びましたが、ウィーンにいるBBCのベサニ・ベル(Bethany Bell)は、最終合意に達しておらず、詳細はまだ作業中だと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 このタイミングで、重兵器が演習に参加していることをロシア政府が公表した理由は説明するまでもありません。また、「主な狙いは未知の地形と試したことがない射程での戦闘訓練任務の能力
に従って、部隊の密着性を多角的にチェックすることにあります
」という説明は、吹き出したくなるほど意味不明ですが、これはロシアが緊張度を必要以上に高めないように工夫していることの表れです。

 プーチン大統領の言葉は、まだロシアも妥協点を探っていることを示します。

 しかし、住民投票の結果、どうなるかは分かりません。とりあえず、交渉の時間を稼ぐために、住民投票を延期するという手もあります。

 住民投票を行って、クリミア半島をロシアに帰属させると、ロシアはオリンピック・パラリンピック大会で得た評価をすべて失い、大規模な経済制裁も受けるという問題があります。

 NATO軍とロシア軍がウクライナで戦うという話にはならないでしょう。それは、両方にとって、大きな代償を与える、望みのない選択肢です。他にも紛争が各地で起きているのに、ウクライナで戦争に興じるわけにはいかないのです。

 すでに、投資の世界では、この危機に関して、大きな動きが起きています。ロシア通貨のルーブルが売られ、ニューヨーク株式市場が下げ、代わりに米国債が買われ、ドルが売られて円が買われています。こうした動きも情勢に影響します。しかし、最終的にどうなるのかは、まだ流動的です。


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