アル・ヌスラ戦線がISISに最後通告

2014.2.27


 BBCによれば、アルカイダ特使のアブ・カリド・アル・スウリ(Abu Khaled al-Suri)が殺された後、アル・ヌスラ戦線(the al-Nusra Front)のアブ・モハメッド・アル・ジュラニ(Abu Mohammed al-Julani)は、イラクとレヴァントのイスラム国家(the Islamic State of Iraq in the Levant: ISIS)に対して、聖職者による仲裁を受け入れなければ、追放するという最終通告を出しました。

 アル・ジュラニは5日以内に応じなければ、シリアはおろかイラクからも追われることになると警告しました。

 アル・スウリはISISとその他の反政府派との対立を終わらせるために派遣されたといわれます。1月初めから、西欧が支援するイスラムグループがISISの拠点を攻撃してから、2,000人以上が殺されたとされます。

 日曜日、アブ・スウリは強硬派の反政府グループ「アーラー・アル・シャム(Ahrar al-Sham)」のメンバー数名と共に、アレッポ市の司令部に対する自爆攻撃で死亡しました。犯行声明はありませんでしたが、アーラー・アル・シャムの同盟は、非難の指はISISを指すと言いました。

 火曜日に、アル・ヌスラ戦線の公報が作り、イスラム過激派のウェブサイトに掲載された音声メッセージは、アル・ジュラニは、スウリは問題を解決する男であり、対立を作り出す者ではないと言い、彼らが彼の死の数日前にお互いに会ったと言いました。「我々は彼を殺した者に言います。あなたの手が消え、あなたの行為が非難されますように。命令を下した者たちとファトワ(宗教令)を書いた者たちは恥知らずです。嘘つきです」。

 ISISを名指しせず、彼はアラウィ派の蔑称(ヌセイリス Nusayris)を用いて、反政府軍を攻撃する者たちを非難しました。「ヌセイリスと戦う者たちと戦うために、ヌセイリスに対する戦いを放棄したのは誰ですか?。これを怪しむべきではありませんか?」。ジュラニは、自由シリア軍を含めて、一部の反政府派グループが不信心の罪があることを否定しないものの、多くはISISによって、無知にも不信心とされ、彼らの血は罰とされたと言いました。
 彼はISISに、反政府派に対するすべての軍事活動を停止し、イスラム上級聖職者のグループに異教徒についての申し立てを裁定させるよう要請しました。

 ISISにデリゾール州(Deir al-Zour province)での反政府派との敗北を思い出させ、アル・ヌスラ戦線はまだすべての戦闘員を動員していないと主張し、ジュラニは5日以内に返答があると予測しました。「神の裁定を拒否し、イスラム社会を悩ませるのを止めないのなら、アル・ヌスラはこの攻撃的で、無知な考え方に対して行動し、イラクからも追放します」。

 別の記事によると、反政府派2人は、男性5人がアレッポの反政府派司令部に入り、一人が自爆する前に発砲をしたとあります。


 記事は一部を紹介しました。

 これはシリアのアルカイダ系組織を弱体化するにはよい動きです。ISISはアルカイダから縁を切られていますが、西欧や湾岸諸国と対立する組織で、自由シリア軍などを攻撃している点は同じです。彼らが互いに戦い、弱体化してくれれば、自由シリア軍にとっては好都合というものです。だから、ISISはアル・ヌスラ戦線の要求を拒否し、両者が戦う方が望ましいのです。

 自由シリア軍は、このチャンスを大いに利用すべきです。新しい参謀長、アブド・アル・イラ−・バシル大佐の腕の見せ所です。ここで最近、彼らから失ったものを奪還できるようなら、自由シリア軍の士気は高まるでしょう。


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