限りなく効果の薄いシリア国連決議

2014.2.24


 BBCによれば、国連安保理事会で、満場一致で、シリアで人道支援がアクセスできるようにする決議を採択しました。

 決議は、シリア政府と反政府軍は支援の輸送隊がシリア全土で民間人のところに行けるようにしなければならないと言います。

 合意文は制裁には触れませんでしたが、双方が応じなければ、さらなる手段をとると警告します。

 前回、類似した決議を拒否したロシアと中国は賛成票を投じました。

 アサド政権を支持しているロシアは、初期の制裁への言及が削除されたあとで支持をしました。

 決議は、樽爆弾の使用を非難し、全土で包囲を解くことを求めます、

 国連事務総長潘基文(Secretary General Ban Ki-moon)は決議を歓迎しながらも、人道支援のアクセスは、交渉のためであってはならないと言いました。「この決議が素早く、誠意を持って実行されれば、苦痛の一部は和らぎます」と言いました。

 アメリカの国連大使、サマンサ・パワー(Samantha Power)は、決議は遅れすぎたと言いました。彼女は、ロシアはシリア政府に強い影響力があり、それはダマスカスの承諾を要すると言いました。

 BBCのニック・ブライアント(Nick Bryant)は、制裁による脅しがないために、国連決議は弱いと言います。

 ロシアのウィタリー・チュルキン大使(Vitaly Churkin)は、ロシアの要請の一部を含んだことで、よりバランスがよくなったと言いました。

 シリアの国連大使、バシャル・ジャファリ(Bashar Jaafari)は、人道支援のアクセスはテロリズムに終止符を打たないと改善できないと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 「ないよりはまし」という程度の決議です。これまでと同じく、人道支援のアクセスは、地元との交渉で実行されるでしょう。シリア政府の関与はより小さいままでしょう。

 次なる手段を決議に含めたのは成果ですが、どんな内容になるかは未定で、その議論は再び時間がかかるでしょう。それでも、中露は約束した以上、この決議に拘束されることになります。微かでも、成果は成果と言えます。

 ロシアと中国の反対を排除するには、西欧・湾岸諸国が反政府派への支援を一層強化し、航空機や対空兵器も渡す必要があります。それにより、樽爆弾の攻撃を防ぎ、反政府派地上軍の作戦を支援するのです。反政府派が政府軍を打倒できるくらいの戦力を持たせるのです。

 アサド政権が反政府派の攻撃的で崩壊すると、中露がシリアに確保していた利権が消滅する恐れが出てきます。中露共に新生シリア政府(反政府派)に鞍替えしなければならなくなります。それを自力で達成するのが一つの方法です。それができなければ、軍事介入しかありません。

 利権のためには、いくら人道危機が悪化しても、意に介しないのが、現代の国際政治です。こうした環境の打破が根本的に必要です。


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