アムネスティがシリア難民保護で国際社会を非難

2014.12.6


 BBCによれば、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は世界で最も豊かな国々をシリア難民への対応が悪いと批判しました。

 同団体はシリア隣国に保護される3800万人のたった1.7%しか世界的に避難場所を提供されていないと言い、アラブ諸国、中国、ロシアまったく難民を受け入れていないと名指しし、恥ずべきことと言いました。世界的な対応が不十分なことがシリアの隣国に重荷をかけていると言いました。

 大半のシリア難民はレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトに逃げ、これらの国々はさらなる人数に対処するために苦労しています。

 新しい報告書で人権団体は、国際社会が提供した難民の移住場所の不足を衝撃的と表現しました。「湾岸諸国から移住先の誓約がまったく出ないことは特に恥ずべきです」「言語的、宗教的なつながりは、湾岸諸国を難民がシリアの迫害と戦争犯罪を逃れるために安全な避難場所を提供する最前線にすべきです」。

 中国とロシアを加え、アムネスティはヨーロッパ諸国も少数の難民の受け入れについて批判しました。ドイツを除くと、ヨーロッパ連合はたった0.17%の難民を主要な受け入れ国に移住させる約束をしただけです。

  • スウェーデンはヨーロッパ最高の50,235人の保護申請を受け付け、1,200ヶ所の避難場所を約束しました。
  • ドイツは46,265人の申請を受け付け、30,000ヶ所の避難場所を約束しました。
  • その他の欧州連合国は53,605人の申請を受け付け、5,105ヶ所の避難場所を約束しました。
  • 湾岸協力会議6ヶ国は避難場所の提供をしていません。
  • ロシア、チリ、日本、シンガポール、韓国は避難場所を提供しない高収入国です。
  • アメリカは上限のない移住計画を持ち、その規模は不明です。

 2015年の終わりまでにシリア難民の少なくとも5%を、2016年までに別の5%を移住させることを要請しています。

12月2日現在の難民数
レバノン
1,143,493
トルコ
1,097,740
イラク
228,484
ヨルダン
618,615
エジプト
137,504

 当サイトで何年も前から指摘しているように、国際社会のシリア内戦への取り組みはひどすぎます。日本でシリア難民受け入れが政治の議題になることはないでしょう。折しも衆議院選挙ですが、日本人はこんな話にまったく関心がありません。アムネスティが報告書で日本を批判しても、聞く耳を持つ者はいません。そんな国が平和国家だと主張しても説得力はないでしょう。自衛隊を海外に出すだけが国際貢献ではありません。難民の受け入れは、最大級の国際貢献です。

 


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