シリアでイスラム国が脱走兵100人を処刑

2014.12.22


 alarabiya.netによれば、イスラム国に属する民兵はシリア北部のラッカ(Raqaa)の基地から逃げようとしたメンバー100人を処刑したとファイナンシャル・タイムズが報じました。

 シリア政府とイスラム国に対抗する活動家は、事実上の首都であるラッカから逃げようとした外国人戦闘員100人が処刑されたことを確認しました。

 何ヶ月も逃げ回った後、不満がイスラム民兵の間に広がっています。戦闘員たちはイスラム国の軍事的進展の停止を感じ、彼らの集団に犠牲者が増加するのを目撃しています。「士気は下がったのではなく、地に落ちたのです」と、イスラム国の遅配地域、デリゾール(Deir al-Zor)の反政府派活動は言いました。

 戦闘員の間の士気は、支配地域に関するグループの変更によって影響を受けました。それは、米主導の空爆がシリアとイラクで彼らの前進を止めたためです。「地元の戦闘員は彼らが最大限に働き、死者を出したと感じて不満を感じ、冒険の中にいると考える外国人戦闘員はいまや疲れ切っています」と活動家は言いました。

 ラッカにいる別の活動家と戦闘員は、イスラム国は出頭しない戦闘員を取り締まるために憲兵を作ったと言いました。活動家はイスラム国の警察はイスラム国戦闘員の家を急襲し、彼らの多くを逮捕したと言いました。彼らはイスラム国民兵は、戦闘員であることを示し、特定の任務に割り当てられていることを明らかにするために、身分を示す書類を持ち歩かなければならないとも言いました。

 イスラム国戦闘員に接触した活動家は、聖戦士の行為に関する規則のリストを記した書面を見せました。ファイナンシャル・タイムズが未確認というその書類は、規則を受け取って48時間以内に事務所に出頭しない者は処罰されると警告しました。「ラッカでは、彼らはこれまでにメンバー400人を逮捕し、他の者のために身分証を印刷しました」。


 記事は一部を紹介しました。

 先日、イスラム国に参加したインド人の男性の話が報じられましたが(過去の記事はこちら)、そこに書かれたのと共通する話が出てきました。

 そろそろ、こうした問題が浮上してもおかしくありません。前から指摘しているように、イスラム国は急速に勢力を拡大し、世界中にメンバーを求め、実際、各地から人材が集まってきました。しかし、メンバーは寄せ集めの上に、これだけ大きな集団が自発的な意志だけで統率できるはずもありません。プロ集団の正規軍でも士気を維持するのは大変なのです。どう考えても、この組織が順調に成長するはずはないのです。

 集まってきたメンバーはイスラム国の急速な進展を見て、この組織には神がついていると勘違いするような、率直に言えば「甘ちゃん」ばかりです。戦闘の厳しい部分に直面して、意気がくじけるのは無理もありません。イデオロギーだけで戦場を生き抜けるはずはないのです。

 戦闘経験が長引くと、多くの人は精神に異常を来すようになります。米軍の研究では戦闘経験が平均150日間で、兵士は戦闘意欲を失います。この日数に近づくと、規則に従わない兵も出てきます。

 外国人戦闘員が実際に何人いるかは分かりませんが、4割という数字も出ています。彼らの士気が崩壊するということは、イスラム国の戦闘力が大きく下がるということです。

 また、ここでも空爆の効果が出ていることが確認されます。オバマの戦略は間違っておらず、当面続ける価値があることが分かります。伝統的な軍隊のやり方とは違い、軍人たちの間に不信感も出た方法ですが、新しい戦略として定着する可能性があります。軍人たちの見方も次第に変わるかも知れません。さらに、世界の見方も変わるかも知れません。こういう戦争のやり方もあるのだと。

 


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