9/11事件首謀者の弁護士が拷問報告書にコメント

2014.12.11


 alarabiya.netによれば、米上院の拷問報告書が公表されたことに続いて、9/11事件の首謀者であることを自ら認めたハーリド・シェイク・モハメッド(Khalid Sheikh Mohammed)は死刑になるべきでないと、彼の弁護士は言いました。

 「拷問した後で人を処刑するのは非合法、非人道的、不公正です」とデビッド・ネヴィン弁護士(David Nevin)は言いました。モハメッドはCIAの秘密刑務所で183回水責めを受け、2003年3月に連続25時間にわたり5回水責めを受けたと知られています。「183回偽りの処刑を行った後で、モハメッド氏を本当に処刑することは、米国憲法修正第8条が禁じる過酷で異常な刑罰です」「拷問の詳細で明らかになった残忍性はまったく衝撃的で、有益な情報をまったく生みませんでした」。


 記事は一部を紹介しました。

 拷問を行ったことで、首謀者の処罰にも影響が出る可能性があるという実例です。実際に判決に影響を及ぼすかどうかは分かりませんが、弁護士がそう主張する余地を与えたことになります。

 日本ではどうなのかを顧みましょう。日本国憲法は拷問を禁止しています。

第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

 自民党が提案している改憲案には、この条文から「絶対に」が抜け落ちています。なぜ、あえてこの言葉を外したのかは疑問です。特例を認める余地を残すためとしか思えません。

 また、現行憲法は日本国民ではない者に対する拷問も禁止していると考えられますが、さらに明確化するために条文を追加することが望ましいのかも知れません。「平時、戦時に関わらず」とか「日本国民であるかどうかに関わらず」などの条項を追加することが望ましいでしょう。

 CIAが拷問を行ったのは、今は戦時であり、通常の法律では対処できないと考えたからです。そういう場合に、それを明確に禁じる条文がなかったことが、事件を生んだ一つの原因と考えられます。

 


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