空爆でイスラム国のコバネ攻撃が停止か

2014.10.8


 BBCによれば、米主導の同盟国はコバネ(Kobane)を攻撃しているイスラム国戦闘員に対して、これまでで最も長い空爆を実施しました。

 シリアのクルド員戦闘員は、攻撃は最も効果的だったが、もっと前に来るべきだったと言いました。

 特派員はイスラム国の勢いは止まったように見えるが、コバネ周辺の戦いは続いていると言いました。トルコではクルド人がトルコ軍の支援がないことに抗議して、少なくとも12人が殺されました。クルド・シリア党(Kurdish Syrian Party)の指導者、サーリフ・イスラム(Salih Muslim)は、激しい圧力の下で、夜間の状況は人民防護隊(YPG)のクルド人戦闘員に非常に深刻なままだと言いました。「人民防護隊による激戦が進行中で、彼らは民間人を守ろうとしています。彼らに対して非常に大規模な作戦があります」。

 3週間のコバネの戦闘で、少なくとも400人が死んだと観測者は言い、160,000人がトルコへ越境しました。

 米軍が公表した最新の記事はコバネ周辺で、月曜と火曜に5回の空爆を認めましたが、正確な時期は提供しませんでした。

 シリア・トルコ国境にいるBBCのポール・アダムズ(Paul Adams)は、空爆は今日、本格的になり、イスラム国の前進を足止めしたようです。長いことジェット機が頭上にいると、イスラム国は明らかに攻撃を避けるために隠れる時間を使わなければなりませんでした。その結果、月曜にみられたような激戦はありませんでした。時々、コバネは気味が悪いほど静まりかえったようです。

 コバネのクルド人は、現在、米主導の同盟軍と直接連絡しているようです。しかし、空爆だけでは、長期的に見ると、イスラム国がコバネを占領するのを止めるのには十分ではありません。クルド人人民防衛隊の民兵は、市街戦では優位だと主張しますが、イスラム国により数で打ち負かされています。地上戦だけ、あるいはトルコからの軍事支援だけが成功を保証できますが、その見通しは遠いようです。


 記事は一部を紹介しました。

 昨日、位置が分からないと書いた高地、ミステニュア(Mistenur)はBBCの記事に掲載された衛星写真により、街の南側にあることが分かりました。高地は南北に細長く、南から町の南東につながる道路に接しています。これは戦術的に重要な場所です。

 とりあえず、空爆により、イスラム国がこのまま市内に流れ込んでいく状況は止められたようです。今後は空爆を継続するしかないのですが、トルコ軍は動きそうにありません。記事にはトルコ国境にいるトルコ軍に対して、クルド人が投石する写真も掲載されています。見殺しにする気かという抗議ですが、それ自体が混乱をさらに悪化させています。トルコ軍の戦車が前進して、ミステニュアのイスラム国兵士を追い払えば、町への砲撃は止まります。空爆よりも、戦車による攻撃の方が早くて、強力です。トルコはコバネに侵攻すれば、そこで長期間、駐留を余儀なくされることが明らかなので、攻撃を躊躇しているのでしょう。せめて、トルコは小型装甲車をクルド人に提供して欲しい。それで戦況が変えられるかも知れません。

 コバネ市内のクルド部隊が米軍と連絡が取れているのなら、この空爆をかなり効果的にできます。どこにイスラム国が侵入したかを米軍が理解していれば、効果的な攻撃ができます。B-1爆撃機でミステニュアにでかい爆弾を投下すれば、イスラム国に対してかなりの揺さぶりになります。轟音と爆煙がミステニュアから立ち上るのをみれば、迫撃砲隊が全滅したような演出ができます。

 状況はなんとも歯がゆいですね。

 


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