自由シリア軍がコバネ戦に増援を送る

2014.10.25


 alarabiya.netによれば、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(President Recep Tayyip Erdogan)は金曜日、自由シリア軍戦闘員1,300人が、イスラム国に攻撃されているコバネ(Kobane)を防衛するためにクルド人に合流したと言いました。

 シリアのクルド人は自由シリア軍1,300人を受け入れ、彼らは通過ルートを決定するために会談を開いていると、大統領は言いました。自由シリア軍は木曜日、彼らがクルド人戦闘員を支援するためにコバネに軍を派遣したと言いました。

 過去数週間、イスラム国民兵に対して抵抗するコバネの中にはクルド人戦闘員2,000人がいると見積もられます。

 トルコは木曜日に、イラク系クルド人のペシュ・メルガの戦闘員200人がコバネの国境を渡り、イスラム国と戦う仲間に参加したと言いました。

 イラクとシリアのクルド人グループの地域行政組織、民主連合党(the Democratic Union Party)は、ペシュ・メルガ200人がコバネに行ったという昨日の情報を最終的に認めたと、エルドアン大統領は言いました。

 コバネを支配するイスラム国民兵と戦うクルド人戦闘員は2,000人いると考えられています。

 alarabiya.netによれば、コバネをイスラム国の猛攻からクルド人が戦車と装甲車を持たない限り、コバネ戦は消耗戦に変わると、シリア系クルド人指導者は言いました。

 イスラム国武装勢力は1ヶ月以上、コバネを包囲し、大半が軽装備のクルド人を攻撃するために、イラクで手に入れた戦車や装甲車を含んだ武器を使っています。

 「状況に変化がなければ、どちらも消耗戦になります」と、クルド民主連合党(the Kurdish Democratic Union Party)の党首、サレハ・モスレム(Saleh Moslem)はAsharq al-Awsat紙に言いました。

 彼はクルド人は最近、イスラム国がコバネに化学兵器を迫撃砲で攻撃しようとしているという情報を得ており、イスラム国がコバネを約40両の戦車で包囲したと言いました。「我々が質的に(強力な)兵器を受け取ろうとするなら、我々は彼らが使う戦車や装甲車を攻撃できるようになりたいのです。我々は戦いに質的な変化をもたらせるかもしれません」。

 最近の武器の空中投下と米主導の攻撃について尋ねられると、彼は「それらは力のバランスを変えるためには十分ではありませんが、彼らが続けるなら、変化をもたらすことができます。現在まで、空爆は限定的です」と言いました。彼は、今週早くにイスラム国戦闘員120人が越境したのを見ぬふりをしたと言い、トルコ政府が過激派のイスラム国を支援したと批判しました。

 BBCによれば、アメリカはイスラム国がイラクで化学兵器を使ったかどうかを調査していると、ジョン・ケリー国務長官(Secretary of State John Kerry)は言いました。

 先月、イスラム国がイラクの警察官に対して塩素ガスを使ったという主張を調査中だと言いました。韓国を訪問中に、ケリー長官は主張は未確認だと言いました。9月に、フランス、ドイツ、イギリスはイスラム国が塩素ガスを持っていることはあり得ると言いました。

 イスラム国がサリン、VXガス、マスタードガスのような危険な化学兵器を持っていることはなさそうです。しかし、イラクから絶え間なく来る報告は、彼らが窒息剤に分類される塩素ガスを使っていると言います。

 military.comによると、米軍はシリアとイラクでイスラム国と戦うために、これまでに4億2,400万ドルを費やしたと言いました。

 国防総省広報官、ジョン・カービー海軍少将(Rear Adm. John Kirby)は、8月8日に空爆をイラクで始めてから、費用は一日平均約760万ドルだったと言いました。オバマ大統領は9月にシリア空爆を承認して作戦を拡大しました。

 カービー少将は、イラクで地元治安部隊がイスラム国軍に対して、いくらかの前進を始めていると言いましたが、進展は遅く、いつ転回点に達するかは言えないと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 コバネ戦に関する情報をまとめました。

 中でも、1,300人の増援は心強いことです。これだけが一気に増えれば、かなりの戦力となります。イスラム国も増援を続けているようで、それをトルコ政府が黙認しているのは問題ですが。

 イスラム国の戦車40台はかなりの脅威です。軽装備の歩兵では、これらの武器を打ち破れません。たとえ、RPGを持っていても、近くまで行かないとどうにもなりません。自由シリア軍の一部には、対戦車ミサイルがありますが、過激派でもあるクルド人の増援に行く部隊には、念のために持たされていないでしょう。対戦車ミサイルや対空ミサイルは絶対にテロ組織に渡せないものなのです。

 すると、これらの戦車を破壊できるのは、トルコ軍の榴弾砲とか、米軍などの空爆となりますが、前者は期待できないので、米軍などが空から攻撃する必要があります。というか、まだ攻撃していないのが不思議なくらいです。

 迫撃砲で塩素ガスを撃ち込むのは、かなり面倒そうでもあります。Yahooニュースによると、イスラム国は浄水施設を占領した時に塩素ガスを手に入れ、それを砲弾に詰めて発射しました。急ごしらえの武器なので、重量が変わり、そのために弾道が変化するので、命中精度は通常の砲弾よりも落ちるでしょう。

 また、塩素の量も疑問です。以前に、シリア軍の化学兵器の映像を送ってくれた読者がいました(記事はこちら) 。それを見ても、かなりの量の塩素が必要なことが分かります。80ミリ級迫撃砲弾に詰められる塩素の量は、かなりの弾数を撃たないと効果が出ないことを示しています。

 化学兵器は散布方法が難しいのが問題です。迫撃砲弾の火薬を取り除いて塩素を詰めると、砲弾を雷管の火薬だけで破壊できるかという問題が生まれます。砲弾が硬いものにぶつからない限り破損せず、塩素をまき散らすことはないということになります。少量の爆薬を砲弾に残すとしても、雷管と砲弾の爆発で、塩素の一部が燃えて消滅する危険もあります。

  いま必要なのは、イスラム国の戦車、装甲車、砲兵陣地を空爆し、クルド人に前進させることです。街から完全にイスラム国兵器を追い出さなければなりません。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.