ソチ五輪の脅威はメイン会場外に集中か

2014.1.31


 military.comによれば、アメリカの情報当局者は、ソチ・オリンピック大会への保安上の脅威の上昇がありますが、主要な攻撃の懸念はメインイベント地域の外側に集中していると言いました。

 国家対テロリズムセンター(the National Counterterrorism Center)の理事、マシュー・オルセン(Matthew Olsen)は上院情報委員会で、ソチのスポーツ会場には広範囲な警護があると言いました。しかし、「より大きな脅威は、より攻撃しやすい標的がソチ地区のより広範な場所、郊外、地区外にあり、そこはテロ攻撃のかなり大きな可能性があると、彼は言いました。

 FBI長官、ジェームズ・コーメイ(James Comey)は委員会に、ロシアの治安当局との協力態勢は向上し、両方の当局者はソチの脅威について議論していると言いました。

 チャック・ヘーゲル国防長官(Defense Secretary Chuck Hagel)は水曜日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣(Defense Minister Sergei Shoigu)とオリンピックの保安について議論しました。ヘーゲル長官は要請されるなら支援すると申し出ましたが、特定の支援を提示しませんでしたし、ショイグ大臣は特定の要請をしませんでした。両者は、支援が必要になったときに備えて、通信ラインを維持するために、大会期間中、通常のコンタクトを維持することに合意しました。

 ロシアはオリンピックのために、大規模な治安活動を始めており、コーカサス地域のイスラム武装勢力の脅威の中、50,000人の警官と兵士を派遣しています。


 記事は一部を紹介しました。

 ソチ・オリンピックの脅威の見積もりは、この通りだと考えて差し支えないでしょう。選手村、開会式と閉会式の会場、各競技場の警備は厳重で、選手に脅威が及ぶ恐れは少ないといえます。夏季五輪に比べると、競技場の規模は小さい上に、気温が低いことから、攻撃者が潜伏する可能性も低いのです。

 テロリストの武器は、小火器と手製爆弾ですから、近くまで接近しないと攻撃はできません。しかし、80mm級の迫撃砲を持っていれば、話は別です。これは射程が3〜5km以上あるので、会場を狙って斉射を行うことはできます。小型トラックに積んで、発射直前に準備をして、決めた弾数を発射したら逃げるというやり方が可能です。

 ロシア当局は、多分、こういう攻撃を想定しているはずです。会場周辺ではホロ付きのトラックは進入を制限したり、積荷をチェックし、迫撃砲の接近を拒むのです。建物の屋上や広場も頻繁に巡回して、迫撃砲と砲弾が隠されていないかを調べます。ノルディックの距離競技の会場の警備は、とりわけ広範で大変でしょう。

 こうした警備方法のどこかに穴があれば、武装勢力は躊躇なく、そこを突いてきます。

 武装勢力側に迫撃砲がない場合、テロ攻撃は、交通機関やショッピングセンターなどへの爆弾攻撃が中心になるでしょう。

 選手への危険は少ないものの、選手村からの外出は避けた方がよいといえます。

 今回の五輪大会は、警備の他、雪が少ない、雪質が悪いなどの問題もあるようです。戸外の競技では記録が期待できそうになく、スポーツ大会としての面白みを欠くかも知れません。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.