シリア政府が大規模な都市破壊

2014.1.31


 BBCによれば、人権団体「Human Rights Watch」が、シリア政府は多くの家を故意に、不法に破壊していたと報告しました。

 衛星写真は、2012年と2013年にダマスカスとホムスの反政府派の拠点で、爆薬とブルドーザーを使った大規模な破壊を示しているとみられます。報告書は、明白で理不尽な民家人資産の破壊と集団の処罰は戦争犯罪だといいます。この報告書はジュネーブで和平会議が行われるときに出されました。

 破壊は2012年7月から2013年7月の間に起きました。衛星写真、インターネットに投稿されたビデオ、目撃者の報告は、破壊が政府軍によって行われたことを示すと、報告書は結論します。衛星写真はダマスカスの7つの地区とハマの破壊の前後を示します。多くの写真で、高い建物が瓦礫になっています。ハマのマシャー・アル・アルビーン地区(Mashaa al-Arbeen)は、2012年9月28日の衛星写真では明瞭に見えます。10月13日の写真では残るものは白い染みです。隣接した地区は手つかずです。

 人権団体は、少なくとも145ヘクタールの住宅地、サッカー競技場200個分の土地が破壊されたと言いました。

 人権団体はシリア政府に、国際法に違反していると言い、即時、破壊を終わらせ、犠牲者に補償と代わりの家を提供するよう要請しました。また、国連安保理にシリアの状況を国際刑事裁判所に委ねるよう主張しました。

 シリア政府は人権団体に、破壊は違法建築物を除去するために行われたと言いました。しかし、人権団体は同様の破壊が政府派の地区には見られないことを見出しました。破壊は軍人が監督し、政府軍と反政府軍の戦闘のあとに多く行われました。

 何人かの住人は人権団体に、住居には必要な書類がすべてあると話しました。彼らは政府軍は破壊についてほとんど予告せず、所有物を取り出すことを許可しなかったと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 元記事に掲載された写真や動画を見ると、破壊の程度は最高度です。住民への懲罰だけでなく、地域を反政府派の軍事拠点にしないために破壊したようにも見えます。シリアの建物は頑丈な物が多く、照準線を遮ったり、隠れる場所を提供します。瓦礫の山にすれば、軍事的価値はずっと減ります。政府軍はそこが反政府軍によって、再び占拠されることを防げるのです。

 しかし、これは国際人道法でも禁止されている行為です。明白な戦争犯罪なのです。建物の中に反政府軍がいる場合、そこは軍事目標となり得ますが、戦闘が終わったあとで破壊するのは、住民が生活するのに必要な物を破壊したとみなされます。さらに、住民が生存するのに不可欠な物を破壊することも禁止されています。

 11,000人分の虐殺死体写真に加えて、広範な住宅地の破壊により、シリア政府が国際法をまったく無視して内戦を行っていることは明白です。もはや、軍事介入以外に、紛争を終わらせる手段はないのです。前に指摘しましたが、昨年、軍事介入を見送ったのは、問題の先送りに過ぎず、シリア国民の苦難を増やしただけです。国際社会を主導する国が、「国益」ではなく、合理的な軍事理論に基づいて行動しない限り、こうした紛争はなくなることはありません。


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