日中両政府がホットライン設置を模索中

2014.1.28


 毎日新聞によれば、日中両国の当局関係者を含む有識者らが27日、沖縄県・尖閣諸島周辺海域における両国公船の衝突回避のため、海上保安庁と中国国家海洋局の間のホットライン設置などを求める提言をまとめました。

 提言書によると、ホットラインに加え▽正確な情報交換による事故防止▽事故時の人命救助優先▽当局間の人的交流▽法制度や国際法解釈の相互理解--などを求めています。提言の取りまとめは笹川平和財団と北京大学が呼び掛け、防衛省防衛研究所や国家海洋局海洋発展戦略研究所の研究員、東大など日中の大学の海洋安全専門家による会合が、昨年8月から計3回開催されていました。


 これは中国の防空識別圏設定に関連した動きと思われます。笹川平和財団と北京大学が呼び掛けたというのは表向きの話で、両政府が体面を失わないように、二団体を利用しているのでしょう。

 先に紹介したように、日中両政府は3年前に非公式会合を開き、その席で中国が防空識別圏について説明していました(過去の記事はこちら)。不測の事態に備えたルール作りについても提案があったといいます。

 日本側は提案を突っぱねたと記事には書かれていますが、実際には民間団体を通じて摺り合わせを続けていたようです。

 裏ではこのように提携しながらも、表向きには相対立しているように装うのが日中外交ということです。両国民は事態を冷静に観察すべきです。政府の主張を真に受けて、大騒ぎするのは愚かな話です。


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