南スーダン反政府派がボルを掌握か?

2014.1.1


 BBCによれば、南スーダンの反政府派指導者、レイク・マシャル氏(Riek Machar)は、彼の部隊がボル(Bor)を奪取したと主張し、和平会談に入ると言いました。

 彼は以前にクーデーターの共謀者として拘束された11人を交渉開始の前に釈放するよう要求しました。彼はサルバ・キール大統領(Salva Kiir)が主張する計画を否定しました。

 ウガンダ大統領は火曜日の終わりまでに停戦に合意し、交渉を始めないと、軍事行動を行うと脅しました。

 月曜日、BBCによれば、キール大統領は内戦を止めるために、いかなる形でもマシャル氏と権力を共有することを否定しました。「これらの男たちは反乱軍です。権力を欲するなら、権力に報いられるために反乱は起こしません。手続きを踏むことです」。キール大統領はマシャル氏の政治的盟友を釈放することを繰り返して否定しました。

 ボルがマシャル氏の軍隊によって陥落したかは未確認です。国連広報は、国連施設から遠くないボルが夜明けに攻撃を受けたと言いました。南スーダン軍公報は、大規模な戦闘が起きたことを確認しました。後刻、マシャル氏は和平交渉のためにアジスアベバに代表団を送ったと言いました。首都ジュバにいるジェームズ・コプナール記者(James Copnall)は、南スーダンの不安定な歴史における交渉は、交戦者たちを有利な立場で交渉の席に着かせるために、新たな戦いの後に起こりがちだと言います。数日間で数千人がボルから逃げました。


 記事は一部を紹介しました。

 戦争は人間の行為ですが、正月も関係がないようです。

 南スーダンの情勢は極めて緊迫しています。そんな時に、日韓のメディアは弾薬提供に関して責任のなすり合い報道を続けていますが、そんなことよりも、今は自国の派遣部隊の心配をすべきでしょう。

 今日配信された毎日新聞の記事は、あたかも戦闘が終了するかのように読者に誤解を与えています。

 戦闘を続けてきたアフリカ東部・南スーダンの政府と反乱軍が31日、停戦に合意した。ロイター通信が、東アフリカ各国が作る地域機構「政府間開発機構(IGAD)」の発表として報じた。今後双方は和平交渉に入るとみられる。

 反政府軍がボルを占領したのなら、この停戦は極めて危ういと見るべきです。白の軍隊がマシャル氏の命令を受けていないとは信じられません。反政府派は南スーダン政府の収入のほとんどである北部の油田地帯を占領しています。さらに、前進してボルを占領したら、政府軍が油田地帯を奪還するのは極めて困難になります。この状態はマシャル氏が南スーダンからの独立を宣言できるほどの力を持ちます。だから、マシャル氏は白の軍隊にボルを奪還させたのです。周辺国が調停に乗り出してくる前に、自分に有利な停戦条件を整えたのです。

 いまひとつ、ボルの情勢は分かりませんが、マシャル氏が停戦会議に応じたので、かなりの確度でボルが陥落したと考えてよいでしょう。

 キール大統領は、短時間の内にボルを奪還し、逆王手をかけなければなりません。

 マシャル氏が賢明な人物なら、ボルの国連部隊には手を出さないように命令をしているでしょう。空港は政府軍の増援を阻むために占領しても、隣接する国連部隊は攻撃するなと言っているはずです。その方が周辺国を含めた停戦会議で優位に立てます。

 停戦会議は流れる可能性もあります。開催した上で、決裂する可能性もあります。たとえ、停戦が成立しても、油田を巡って部族対立は続き、近い将来、また内戦になる可能性が高いとみなくてはなりません。それが戦争の常なのです。そこを毎日新聞の記事は理解していません。


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