シリア元国防大臣が離反し、トルコへ出国

2013.9.5


 alarabiya.netによれば、アラウィ派の有名人、元シリア国防大臣のアリ・ハビブ大将(General Ali Habib)が離反し、現在はトルコにいると、シリア国家評議会は水曜日に言いました。

 これが確認されれば、ハビブは2011年の内戦開始以来、アラウィ派からの最高位の離反者になります。

 「アリ・ハビブは政権の支配から脱出し、今はトルコにいますが、これは彼が反政府派に参加したことを意味しません。私は西欧の外交官にそう言われました」と、カマル・アル・ラブワニ(Kamal al-Labwani)はパリで言いました。

 湾岸諸国の消息筋は、ハビブは火曜日夜に離反し、深夜の前に、2〜3人と共にトルコ国境に到着したと言いました。彼はそれから車列と共に越境しました。彼の同行者は彼の離反を助けた仲間の将校でした。彼らはシリアを出国したと考えられますが、確認されていません。

 ラバワニは、ハビブが西欧諸国の助けで、密出国したと言いました。

 「彼は情報源のトップになるでしょう。ハビブには軍歴があります。彼は、アサドに抵抗し、抗議者の殺害に反対してから、事実上、自宅軟禁下にありました」と、ラブワニは言いました。匿名を希望した自由シリア軍の将校は、ハビブはアメリカのお膳立てで離反したとみられると言いました。

 シリア軍を離反した元将校は約36,000人で、その28,000人はアラウィ派、8,000人はスンニ派とキリスト教徒、ドルーズ派です。

 1939年生まれのハビブは、2009〜2011年8月まで国防大臣でした。彼が交代した時、公式メディアは健康上の理由としました。

 彼は平和的、民主的抗議者の殺害に反対して解任されたという噂の後、ハビブは国営テレビで、アサド政権への忠誠を誓いました。西欧の外交官は、声明は強要されたものとみられると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 ハビブの離反が、アメリカの空爆宣言に合わせて実行されたかどうかは分かりませんが、可能性を感じます。アサド政権に少しでも圧力を与えるため、日を選んで、離反させたのかもしれません。

 36,000人もの将校がいなくなったら、どう考えても、軍はまともに動きません。空白を下級士官を昇進させて埋め、これで空いた部分を民兵で埋めているのかも知れませんが、これで中部シリアで、クサイル、ホムスを奪取できるはずがありません。これらの戦いは、報じられているように、ヒズボラの戦闘員が主導したと考えられます。その度合いは、我々が想像するより大きく、彼らがいなければ、勝てないレベルだったと仮定してみます。

 それから化学攻撃が起きたということから、すでに首都防衛のための兵がおらず、国連査察チームがいても構わずに、化学兵器を使わなくてはならない状態だったとも推測できます。ダマスカスでは、反政府派が有利に戦っているのに、報道に出ていないのかも知れません。

 これが本当なら、空爆は限定的でも効果があるかも知れません。しかし、実際のところは、やってみなければ分かりません。戦況の情報が少なすぎるのが問題です。

 また、これだけの支援の見返りに、ヒズボラは何を得るつもりなのでしょう。報酬はすでに得たかも知れませんが、シリアが倒れたら、ただ働きになる部分もあるでしょう。

 シリア軍の戦力が把握しにくい中で、空爆の是非を判断するのは困難です。ずっとシリア内戦を眺めてきても、本当のところは分からないのです。


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