ロシアの化学兵器無力化案は実現するか?

2013.9.12


 BBCによれば、シリアの化学兵器を安全化するロシアの提案を議論するため、国連安全保障常任理事国のメンバーがニューヨークで会合を開いています。

 イギリス、アメリカ、フランスは拘束力のある決議を作ろうとしていますが、ロシアはそれを望んでいません。ロシアとアメリカは木曜日にジュネーブで二国間協議を行います。シリアはロシアの計画を支持し、アメリカは外交を続けるために軍事攻撃を遅らせると言います。ロシアはアメリカに計画の詳細を送ったと言いました。

 ロシアはシリア政府による化学兵器攻撃に関する、いかなる決議にも反対であることを明らかにしています。理事国メンバーは決議の言い回しを議論するかも知れません。ある特使は「合意は得られると思います」と言い、別の特使は「私はシリアの化学兵器の処理計画の一般原則を議論すると理解しています。彼らはまだ本当に決議草案を議論していません」と言いました。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣(oreign Minister Sergei Lavrov)とジョン・ケリー国務長官(Secretary of State John Kerry)は木曜日にジュネーブで会う予定です。彼らは水曜日に電話で話しました。ある外交官は、国連特使の会合はもっぱら象徴的で、重要な問題はジュネーブ会議に残されていると言いました。ロシア筋はジュネーブの会議は二国間協議で、国連は関係しないと言いました。「会議は木曜日に始まり金曜日に終わるはずですが、土曜まで続くことを排除しません」。

 米国務省広報官、ジェン・プサキ(Jen Psaki)は、ロシア政府は目下、長い提案ではなく、アイデアを提案したところだと言いました。彼女は、考える必要がある要素がまだあると言いました。ケリー長官がジュネーブでアラブ連盟の特使、ラハダル・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)に会うことを認めました。武器専門家のチームがケリー長官に同行します。

 ホワイトハウス広報官、ジェイ・カーニー(Jay Carney)は、化学兵器の無力化のプロセスには明らかにかなりの時間がかかると言いました。「ロシアは今、その名声を危険にさらしています」。

 シリアのワリド・ミュアレム外務大臣(Foreign Minister Walid Muallem)は火曜日、シリアは目下化学兵器の貯蔵物を所有しておりロシアの計画に明確な約束をしたと、最も完全な公式の告白をしました。「我々はすでに化学兵器の位置を知らせ、化学兵器の製造を中止し、ロシアや他の国、国連の代表にこれらの物を示す準備ができています」「ロシアのイニシアティブへの支持は、化学兵器すべての保有の停止という目標です」。

 火曜日の朝まで、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は、軍事攻撃について議会の支持を得るための活動をしていました。しかし、政治家への調査は、彼が評決に勝てそうにないことを示しました。テレビ演説でオバマ大統領は、ロシアの計画と、化学兵器を持っているというシリア政府の告白は証拠を補完すると言いました。「(ロシアの計画が)成功するかを言うのは早計で、いかなる合意もシリア政府がその約束を守るかを確認しなければなりません」。


 記事は一部を紹介しました。

 ロシアがアメリカに渡したという計画案を早く知りたいものです。それによって、この提案が実現するかどうかが分かります。

 しかし、ロシアの外交調停は、湾岸戦争の時のように失敗することがあります。単に、アメリカの足を引っ張って終わり、引っ込んでいた方がよかったという結末です。カーニー報道官が言うように、この調停が失敗したら、ロシア政府の威信は失墜します。

 その徴候が、ロシアが拘束力のない国連決議にしたいと主張していることです。拘束力のない決議は単に遅延戦術へ加担するだけで、シリアが化学兵器を持ち続け、空爆もされないことを意味しています。ロシアもシリアも、決議の拘束力を認めなければなりません。それができなければ、計画の詳細を詰める段階にも進めないまま、この調停はお流れです。

 この危機で分かるように、現代の世界は必要以上に強力な武器を持ちながら、それを使うべき時期を失するという問題を抱えています。力が強いのに、それを意味のないところで使う野蛮な男のイメージです。米議会、特に下院が、こんなに抵抗するとは私は思いませんでした。理性を示したのは立派ですが、下院議員たちは難民問題への解決策を示すべきです。


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