ハマミ暗殺の動機は依然不明

2013.7.15

 alarabiya.netによれば、自由シリア軍は、アルカイダ傘下の「イラクとレバントのイスラム国家」によるカマル・アル・ハマミ(Kamal al-Hamami)は、宣戦布告だと言いました。

 自由シリア軍の公報、ロエイ・アロモクダッド(Louay Almokdad )は、ハマミ氏の殺害犯の引き渡しは合法的な要求だと言いました。「アブ・アイマン・アル・バグダッディ(Abu Ayman al-Baghdadi)と名付けられる犯人は、彼個人の拳銃を使い、自由シリア軍指導者を含めた目撃者の目の前で、自由シリア軍当局者を殺害しました」とアロモクダッドは言いました。「我々は誰との戦いも脅したり、警告したり、扇動したりしません。この殺害犯は公正かつ公平な司法官に引き渡されなければなりません。そうして正義は行くべき道を辿れます」。

 アロモクダッドは、自由シリア軍はハマニがなぜ殺されたかについて未だに知らされていないとも言いました。「我々は、彼が殺された理由を知るのを待っています。現在48時間目ですが、未だに説明はありません」「ハマミは軍事作戦を行うために、政府軍の陣地を発見する間に殺されました」「ハマミの殺害犯は、政権の利益に奉仕しました。ハマミを殺した者たちは、なぜそうしたのかを説明しなければなりません。そうしないのなら、彼らがアサドのために活動していると発表させます」。

 アロモクダッドは、自由シリア軍とアルカイダ傘下グループの関係についてもコメントしました。「なによりも関係が無いので、現在起きていることは自由シリア軍とアルカイダグループの間の緊張ではありません。彼らは我々を異教徒とみなし、我々に『皆殺しにする』と言うように、我々の仲間に指示しました」。

 alarabiya.netによれば、アルカイダの中枢指導者との関係強化のために、パキスタンのタリバンが反政府側でシリア軍と戦うためにシリアに数百人を送ったと、武装勢力は日曜日に言いました。

 反アサドの革命がはじまって2年以上、シリアはシーア派の圧制者に対する聖戦に参加するために中東諸国に群がる外国人スンニ派戦士を惹きつけるものになりました。

 日曜日、パキスタンのタリバン指揮官は「我々の兄弟が助けを求めている時、我々は数百人の戦士を我がアラブの友人と一緒に送りました」とある上級指揮官は言い、このグループはすぐにシリアでの勝利を飛ぶビデオ映像を発表すると言いました。

 パキスタンの有名な著述家でタリバンの専門家、アハメド・ラシッド(Ahmed Rashid)は、タリバン戦士のシリア派遣は、アルカイダの同盟者への忠誠を示す行為として評価されるだろうと言いました。「パキスタンのタリバンはアルカイダの代理人のままです。パキスタンのタリバンによって世話され、訓練された外国人たちは、連邦直轄トライバルエリア(FATA)にいます」とラホール(Lahore)に拠点を置くラシッドは言いました。「彼らは世界的な聖戦戦士のように、アルカイダの政治課題に合致して振る舞います。私は、これはシリアの武装グループとの関係強化であり、彼らの影響力の範囲を大きくすると考えます」。


 記事は一部を紹介しました。

 ハマミ氏の暗殺が計画的だったのかどうかは依然不明です。前に書いたように、国内報道が報じた「会議に出席して殺された」のなら計画性が感じられますが、実際には、殺されたのは会議の後で、移動中のことでした。これでは、単なる検問所での言い争いが原因だった可能性があります。

 シリアで活動中のアルカイダグループが、反政府派と対立することは考えにくいことです。対立が起きるとすれば、アサド政権が崩壊した後です。パキスタンからタリバンが参加することもあり、今の段階で、アルカイダが反政府派と戦い始める可能性は低いのです。

 タリバンがここまで離れた所で戦うのは、今回が初めてでしょう。これまでは国内から地域までの中間的存在のテロ組織だったタリバンが、その行動範囲を拡げたことになります。これは大きな運動の方針変更です。

 タリバン参戦がシリア軍の兵士に動揺を引き起こす可能性があります。タリバンは捕虜の首を切断して殺します。降伏するのなら、自由シリア軍にしたいと考えるかも知れません。

 また、改めて自由シリア軍とアルカイダグループの関係を否定するコメントが出ましたが、どこまで信頼できるかは分かりません。私は両社の共同作戦は行われていると判断しています。


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