フランス政府がシリア政府のサリン使用を確認

2013.6.5


 BBCによれば、フランスのローラン・ファビウス外務大臣(Laurent Fabius)は、シリア内戦でシリア政府がサリンを使ったことに疑いの余地はないと言います。

 ファビウス外務大臣は、パリの研究所での試験は、神経剤が多数使用されたことを確認したと言い、化学兵器に頼る者たちは処罰されなければならないと付け加えました。しかし、彼は化学剤が散布された場所や時を特定しませんでした。ホワイトハウスはより多くの証明が必要だと言いました。

 以前に、国連は化学兵器が使用された合理的な根拠があると言いました。

 新しい報告書で、国連のシリア調査委員会も外国がシリアが武器を入手する可能性を増やさないように勧告しました。潘基文国連事務総長は、報告書の中の、新しい虐殺、包囲攻撃、子供の権利への違反の証拠などがあがる残虐行為のリストを、不快で驚かされると描写しました。子供たちは人質にされ、拷問や斬首すら見ることを強いられていると言います。

 ファビウス大臣は、シリア国内の特定されていない場所からサンプルをとり、フランスでテストしたところサリンの存在を示したと言いました。「アサド政権とその共犯者が関したことに疑いはありません」と、彼はテレビインタビューで言いました。ファビウス大臣はテスト結果は国連に渡されたと言いました。「あらゆる選択肢を検討している」と彼は付け加えました。「それは、ガスが貯蔵されている場所を狙った武力行使を含めて、対処するかしないかのどちらかということです」。

 このテストは、ジャーナリストがフランスの新聞社「Le Monde」のために、化学攻撃があったと信じる首都ダマスカスと、北部の(Saraqeb)から血液と尿のサンプルを密輸した後に行われました。

 一方、クサイルでの闘いは続いています。レバノンのヒズボラ系テレビ局「al-Manar」は、ヒズボラの戦闘員とシリア軍が街の南西部の支配を獲得したと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 シリアでサリンが使われた証拠はすでに確実といってよい段階に来ています。気になるのはサンプルの出所で、間違いなく患者から得られたものかの裏付けが必要です。多分、地元の病院で採取されたもので間違いはないと思いますが、シリア政府を追及するためには確実な証拠が必要なのです。国連は反政府派が用いた可能性も考えています。

 西欧諸国が行動をとるのなら、ファビウス大臣がいうとおり、サリン貯蔵施設の空爆が最初に考えられる行動です。地下に貯蔵されていても、バンカーバスター爆弾で燃やしたり、地下倉庫を破壊して取りに行けなくできるのです。攻撃は警告なしに、秘密裏に行われ、攻撃が行われたあとで、その公式発表が行われます。

 クサイルの状況が気になりますが、攻撃するのなら北西部からと思っていました。北西部に攻撃の拠点とできる街があるからです。侵入した政府軍は、すぐに反政府派が撃退するかも知れません。似た状況は前にもありました。ずっと居座るようなら問題で、反政府派は反撃のために、さらに増員を送り込まなければなりません。

 しかし、戦況は不透明で、はっきりとした予測はつきません。クサイルの東には陸軍の基地があり、ここが反政府派の手に落ちているのなら、市民を奪取させることはできそうです。この基地が生きているのなら、クサイルから北東に延びる道路を反政府派が自由に使うことは難しいでしょう。すでに、ダバア空軍基地が政府軍の手に落ちているので、街へのアクセスはかなり難しいのだと思われます。周辺の町を政府軍が手にしたとはいいますが、どの程度の包囲網かを明確に示す情報はありません。


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