シリア研究センター空爆の続報

2013.5.6


 BBCがイスラエルによるシリア空爆の続報を報じました。その中から、注意したい事柄を取り上げます。

 国連に送られた書簡では、攻撃は多数の犠牲者と広範な損害を引き起こしました。シリア国営メディアは基地が夜通し攻撃されたと言いました。イスラエル筋はレバノンのヒズボラに送られる武器が目標だと言いました。2日間で2番目の攻撃はアラブ連盟から非難されました。匿名のイスラエル当局者によると、金曜日にイスラエルの航空機がレバノン国境付近でミサイルの積荷を攻撃したと言いました。

 シリア外務省の声明は、ジャムラヤ(Jamraya)の研究センター(kmzファイルはこちら)、ダマスカスのアル・ディマス(al-Dimas)のパラグライディング用空港、メイサロン(Maysaloun)の基地の3つの軍事基地が攻撃されたと言いました。

 最新の攻撃で、ダマスカスは北西部の郊外から来た繰り返される爆発で揺るがされました。アマチュアビデオ映像と目撃者の証言は、ロケット攻撃が武器集積所に命中し、劇的なオレンジ色の炎の爆発を引き起こしたことを示しました。ジャムラヤ研究センターを含めて、この地域は多くの軍施設があります。

 エジプト大統領は声明で、彼らが「さらに状況を困難にする国際的な法律と道義に反した」と言いました。「シリアでの流血とシリア軍のシリア国民に対する武器の使用への強く反対するものの、エジプトは同時に、どんな口実があっても、シリアの能力に対する攻撃、主権侵害、国内的危機の利用を拒否します」。アラブ連盟は国連安保理に攻撃を終わらせるために「直ちに行動を取る」ことを要請しました。 

 イスラエル当局は1月の攻撃を認めましたが、ヒズボラへ運ぶミサイルを積んだトラックが目標だったと主張しました。最新の攻撃のあとで、匿名の西欧の情報筋は、目標はレバノンへ向かう武器の隠し場所だったと言いました。

 別の記事には燃える研究センターを撮ったビデオ映像が掲載されています(記事はこちら)。さらに別の記事はロケットではなく、航空機による攻撃を示唆しています(記事はこちら)。


 記事は一部を紹介しました。

 ジャムラヤの研究センターは広い面積があって、研究棟や地下貯蔵庫を持つ施設です。東西に870m、南北に500m程度の大きな施設です。今回の空爆は、運び出そうとする武器だけでなく、地下貯蔵庫も狙ったものと考えられています。住宅地にも近いので、近くの人は振動で驚いたり、心的なストレスを避けられなかったはずです。

 映像を見ると、繰り返し爆発が起きており、この攻撃で地下貯蔵庫に相当な被害が出ているはずです。戦果があったとイスラエルは判断するでしょうし、それならば、これ以上の攻撃は行われないでしょう。ヒズボラ系テレビ局は、攻撃されたのは養鶏場やミルク工場だったとしていますが、見たところでは、養鶏場らしい建物はなく、住宅地が近いので、養鶏場はなさそうだと見えます。セメント工場が近くにあるようですが、ミルク工場があるかは分かりません。


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