シリアはS-300を受け取ったか?

2013.5.31

 BBCによれば、シリアのアサド大統領は、シリア軍が反政府派に大勝利して、いまや紛争で力の均衡を得たと、レバノンのテレビ局に語りました。

 彼はシリアがロシアの防空システムの最初の出荷を受け取ったかも知れないことを暗示しました。ロシアは今週早くに、S-300ミサイルの出荷を進めると言いました。

 一方で、シリアの主要な反政府派は、虐殺が続く間は和平会談に参加しないと言いました。シリア国家評議会が会合を開いているイスタンブールで、暫定政権の長、ジョージ・サブラ(George Sabra)は、ヒズボラに支援されたシリア軍が憎むべき犯罪を行っている時に外交会議に参加するのは笑止だと言いました。先週、国家評議会の公報は、アサド大統領が退陣するのなら、会議に参加すると発表しました。

 インタビューで、アサド大統領は、受け入れられない前提条件がなければ、シリアは原則的に参加すると言いました。しかし、反政府派のテロリズムが続くことを理由に、彼は会議が失敗に終わっても、効果がなくても驚かないと言いました。このインタビューは木曜日に放送されました。

 アサド大統領はシリア軍の勝利を強く確信しており、ロシアが武器契約の一部を履行したと言いました。しかし、彼はこれがS-300ミサイルを含むかは明言しませんでした。アサド大統領はゴラン高原でイスラエルに対して戦線を開くべきとの世論の声があり、シリアはさらにイスラエルの空爆を受ければ直接対応すると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 アサド大統領の「大勝利」の話は、レバノン向けの宣伝なので、信用する必要はありません。

 和平会談はやはり早々に崩れかかっています。現段階は、和平には向かない時期なのです。

 一番驚いたのはS-300の一部をシリアが受け取ったという国内報道が明確に否定されていることです。アサド大統領は品物がS-300だとは明言していませんでした。

 ここにアメリカがロシアと交渉する余地があります。内乱終結後のロシアの影響力を大きく認める代わりに、アサド大統領の退陣を容認し、S-300の出荷も中止するのです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.