イドリス参謀長がクサイルの危機を強調

2013.5.31

 BBCによれば、自由シリア軍の参謀長、サリム・イドリス准将(Gen Selim Idriss)は、7,000人以上のヒズボラ戦士がクサイル(Qusair・kzmファイルはこちら)攻撃に参加していると言いました。

 イドリス准将は、我が国民を守るためにより多くの武器を求める緊急の訴えを行いました。国連人権会議はシリア政府がクサイルを攻撃したことと外国人戦闘員の関与を非難しました。イドリス准将はBBCの国際ニュース番組で西欧諸国に感情的に訴えました。「私たちは死にかけています。どうか助けをください」。彼は自由シリア軍はクサイルに1,500人に満たない戦闘員しか配置しておらず、軽火器しか持っていないと言いました。50,000人以上の住民は街に取り残され、陥落すれば大虐殺が行われると、彼は付け加えました。彼は、攻撃にはイランの戦闘員が参加しているという情報を受け取ったとも言いました。シリア反政府派の中にイスラム過激派がいることについて質問されると、彼らはシリアの全戦闘員の5〜8%で、過度にメディアの取材を受けてきたと、イドリス准将は言いました。しかし、彼は過激派とイデオロギーを共有しないものの、アサド政権との闘いに参加を望む者を阻止する立場にはないと言いました。「武器と弾薬を持って我々を支援しようとするのなら、我々は武器が正しい者たちの手に渡るという保証を与えられるのです」。イドリス准将は、国外のシリア反政府派が内紛を止めて、来月にジュネーブで行われる和平会議に参加することに同意するようにも求めました。

 水曜日の激戦で、シリア軍がクサイルの戦闘で重要な空軍基地を占領したと国営メディアが報じました。シリア軍筋によれば、ダバア空軍基地(The Dabaa air base・kzmファイルはこちら)は数時間の戦闘の後で占領されました。

 ヒズボラのアル・マナル・テレビ(al-Manar TV)は、空軍基地内部に配置された戦車と、基地の格納庫の中にいる兵士を映しました。

 国連人権理事会は賛成36、反対1、棄権8で、決議を採択しました。ロシアは今年は投票国ではありません。ベネズエラは反対票を投じました。


 記事は一部を紹介しました。

 この記事には兵数に関する重要な情報が含まれています。現地にいる反政府軍は1,500人以下、ヒズボラの戦闘員が7,000人以上、これに戦車などの支援を受けたシリア軍がいるでしょうから、1万人程度が攻撃に参加していると考えられます。用兵の常識からいうと、6.5倍を越える敵には勝てません。ホムス南部にはシリア軍の基地が多数あり、そこも活用しているはずです。

 ここでアメリカを含めたNATO軍による航空支援が行われれば、戦況は変わるかも知れません。これをきっかけに武力行使に踏み切るのか、クサイルが犠牲になるのかという、非常に難しい決断が必要です。国連の人権理事会の決議は根拠として利用できます。空爆をするかどうかは、オバマ政権にとって非常に重要な決断になります。私はすでにその時期に来ていると考えます。


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