北朝鮮が拉致被害者の小出し作戦か?

2013.5.24

 時事通信によれば、韓国紙ソウル新聞(電子版)は23日、日本の情報筋の話として、最近訪朝した飯島勲内閣官房参与に北朝鮮が、拉致された疑いがある特定失踪者2人を帰国させられるとの提案をしたと報じました。

 真偽は不明ですが、事実なら今後、日朝交渉が進展する可能性もあります。同筋によると、飯島氏は北朝鮮当局者に、政府認定の日本人拉致被害者12人の速やかな帰国を要求。これに対して北朝鮮は、大部分は拉致をしていないか、死亡したとの従来の見解を繰り返しました。北朝鮮はその上で、特定失踪者2人を日本に帰国させられるとの新たな提案をしたといいます。 

 読売新聞によれば、飯島勲内閣官房参与「(日朝交渉に向けた)事務的協議は全部終わった。あとは首相と官房長官の判断ということ。(日朝が)お互いにどうやって考えて、やっていくかということだけだ」と述べました。


 この記事が本当かどうかは分かりませんが、北朝鮮は拉致被害者を小出しするという、先日、ここで予測したとおりのことをやるつもりのようです。安倍総理が特定失踪者2人の帰国で参院選を戦えると判断すれば実現するでしょう。

 それによって、韓国、アメリカとの関係は崩れ、北朝鮮は解決済みという主張をさらに強化し、残る拉致被害者の帰国はさらに困難になります。

 こんなことのために、飯島参与がわざわざ訪朝したのかと思うと、暗澹とします。

 北朝鮮の出方は当たり前のことです。韓米との関係にくさびを打ち込んだのだから、拉致被害者全員を返すという敗北そのものを選択するわけがありません。

 北朝鮮は中国に特使を派遣し、外交戦略を関係改善に切り替えはじめました。脅しては、話し合いに戻るいつものパターンの繰り返しです。安倍総理がこれに乗っかって、成果をあげたつもりになるようなら、この内閣には危機管理能力はないということです。


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