ダマスカス中心部で爆弾事件が続発

2013.5.1


 BBCによれば、シリアのダマスカスで爆弾事件が起こり、少なくとも13人が死亡し、大勢が負傷しました。

 爆弾はマルジャ地区の広場(Marjeh・kmzファイルはこちら)で爆発しました。民間人と治安要員が死亡しました。最も新しい暴力事件はシリア政府が化学兵器を反政府派に対して用いたという非難の中で起こりました。オバマ大統領は、化学兵器の使用は事態を一変させると言い、火曜日には、アメリカが取り得る選択肢を再考する前に、事実が立証される必要があるとしました。シリアの国連大使、バシャル・ジャファリ(Bashar Jaafari)は、シリア政府は化学兵器を使った最も新しい場所と時期に関する情報を待っているところだと言いました。彼はニューヨークでの記者会見で、シリア政府は国連に、3月19日のアレッポ州、カーン・アル・アサル地区(Khan al-Assal・kmzファイルはこちら)で化学兵器が使われたという訴えを調査するのなら、シリア政府はより新しい主張を調べると言いました。シリア政府は反政府派がカーン・アル・アサル地区で化学兵器を使ったと言いますが、反政府指揮官はシリア政府が使い、犠牲者が呼吸困難と皮膚の蒼白化で苦しんだと報告されていると言いました。

 火曜日の爆弾事件はマルジャ地区のホテルとショッピングセンター、内務省ビルの近く、商業地区で起こったとBBCのジム・ミュアー記者(Jim Muir)は言いました。攻撃目標や犯人についての情報はまだ明らかではありませんが、街の中心部にいる人々はもはや安全ではないと、彼は言いました。人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、爆発は自動車爆弾だったと言いました。3月は6,000人が殺された最も被害が大きかった月で、その3分の1は民間人でした。政府軍と反政府軍は数ヶ月間、ダマスカス周辺で戦っていますが、どちらも勝利を得ていません。


 記事は一部を紹介しました。

 カーン・アル・アサルは完全な住宅地帯で、ここで化学兵器を使ったのなら、極めて重大な国際法違反です。反政府派の拠点となっていたのか、民間人を無差別に狙ったのかは分かりませんが、あまり化学兵器を使うのには適した場所ではないように思われます。平地の住宅地で、西からアレッポ市内に入る二本の幹線道路が通っています。汚染が持続するような化学兵器を使うには、自軍が通る場合の被害も考えられるため、化学兵器が使いにくい場所のように思えます。

 マルジャ広場をGoogle Earthで見れば、すぐ近くに内務省ビルがあることが分かりますし、モスク、ホテルに囲まれた場所であることも分かります。大統領宮殿からは4km足らず。最近の爆弾・砲撃事件は比較的近い場所で起きており、反政府派がこの地域を重点的に狙っていることが分かります。

 政府軍は極めてまずい状況に陥ったように見えます。もはやダマスカスは政府軍が支配しているようには見えません。それでも、政府軍側の戦力や支配地域の情報がはっきりとしません。この段階になると、一般国民の指導者への信頼はすでに尽きていてもおかしくありません。


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