北朝鮮が開城工業団地への入境を許可せず

2013.4.3


 開城工業団地について、北朝鮮側は3日午前、韓国側関係者の団地への立ち入り(入境)を禁止すると韓国側に伝えました。

 現地に滞在している韓国側関係者が戻る「出境」は許可されます。韓国政府は団地の運営に支障が出るとして遺憾の意を表明しました。


 ようやく、というべきでしょうが、北朝鮮が開城工業団地への韓国人の立ち入りを禁止しました。韓国人の帰国は認めるということです。

 北朝鮮は声明で、状況によって「団地は閉鎖する」としていました。しかし、現在の状態は閉鎖とは言えません。操業は続いており、滞在している韓国人が全員帰国するまで数日はかかるでしょう。その後、数日間、操業を完全停止して、適当な時期に再開する予定に思えます。そうでないと、北朝鮮が受ける経済的打撃が大きくなりすぎます。北朝鮮人労働者の給料は韓国の企業が支払うわけですが、その給与体系がどうなっているかがポイントになります。給与は月額57.5ドルと決まっているらしいのですが、仕事をしなかった場合の給与額がどうなるかが問題ということです。それによって、北朝鮮が工業団地を閉鎖できる期間が決まってくるはずです。

 戦争が本当に起こるなら、戦時突入と声明する前に団地は閉鎖し、韓国人は拘束し、軍隊の動員があり、武器、物資の移動が観測されます。韓国軍は、そうした動きがまったくないとしています。地上軍の動きは大きいので、何も観測されないはずはありません。朝鮮戦争が起きたとき、北朝鮮はいうまでもなく奇襲攻撃を行いました。その時と今とでは北朝鮮政府の行動が違いすぎます。また、現代では地上戦がはじまる予兆を探知し損ねることは希です。湾岸戦争のきっかけとなったイラク軍のクウェート侵攻も、米軍はイラク戦闘部隊の移動は把握していました。予知に失敗したのは、戦争をするだけの支援部隊が揃っていないと判断していたからです。

 このように脅迫を繰り返しても、世界は動じません。すると、さらに北朝鮮は脅しを激化させます。次に小規模な軍事行動があるかも知れないと予測すべきですが、韓国軍はそうした攻撃には中枢へも反撃すると方針を転換しています。北朝鮮にこのメッセージが届いているかが気になるところです。


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