北朝鮮との対話は開城工団問題に限定

2013.4.18


 朝鮮日報によれば、韓国の朴槿恵大統領が11日、統一部長官を通じ提案した「対話の場に出てくるべき」という北朝鮮に対する声明は、開城工業団地の問題に限定されたものだったことが分かりました。

 朴大統領は開城工団に残っている韓国人社員が食料不足により受けている苦痛や工団入居企業の工場操業停止問題を解決するため対話を提案、その考えを12日、大統領府秘書陣に直接説明したとのことです。

 柳長官が11日に対北朝鮮声明を発表、同日夜の与党セヌリ党議員たちとの夕食会で朴大統領が「対話提案」の意向を示したが、翌12日に「北朝鮮との対話」の範囲をめぐり、大統領府秘書陣の間で意見の違いがあったといいます。この当局者は「朴大統領が直接『私の言った意味は開城工団問題の協議にあった』と述べた後、政府内で『北朝鮮との対話は開城工団に限ったこと』という方向へ意見がまとまりました。

 一方、北朝鮮は16日「対話や交渉を望むなら、あらゆる敵対行為に対し謝罪せよ」と発言しましたが、これに対し韓国政府は「話にならない」としています。


 記事は一部だけを紹介しました。

 この記事を読んでほっとしました。対話優先で事態を収拾しようとすれば、それは北朝鮮に勝利を献上することになります。だから、対話の内容について知りたいと考えていました。開城工業団地に残る人々への支援物資を送ることについてだけに限定するのなら、工業団地に入っている企業の訪朝も事態に悪影響を及ぼさず、実施しても構わないと思いました。

 北朝鮮は謝罪と賠償を求めてくるはずです。すべての責任を韓国に押しつけ、資金や物資を得ようとします。しかし、韓国はそれは悪影響しか及ぼさないことを学んでいます。休業した分の給料を要求されても、韓国は払わないでしょう。

 今回の事態で、北朝鮮にいよいよ体力がなくなったことが証明されたのです。ミサイルも核兵器も完成していない可能性が高まり、通常兵力も機能しないことが分かり、備蓄された物資が乏しいこともばれたのです。あとは、本当に戦争をするくらいしか手がありませんが、それができなくなるのです。

 開城工業団地も、近いうちに再開しないと、資金不足がさらに増します。いまは、韓国人労働者を人質のように使い、支援物資の搬入も拒んでいますが、韓国企業がいなければ工場は動かないのです。給料を払っているのは韓国企業なのです。妥協しなければならないのは北朝鮮です。

 開城工業団地は南北の分断線から5.5km足らずの場所にあり、韓国軍の進撃を阻むような天然の要害もなく、工業団地を占領するのは難しくはありません。大きな橋が2つ(車両用・鉄道用)もあり、川は細い場所もあるので、架橋も楽でしょう。北朝鮮軍にここを簡単に守れるという確信はないはずなので、突っ張りきるのは不可能です。


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