北朝鮮がTELを配置した場所が公表される

2013.4.11
追加 同日 9:27


 FNNによれば、韓国・MBCニュースは日本時間午後8時、「北朝鮮がミサイル発射を準備している場所が、初めて確認されました」、「咸興(ハムフン)近くのソンドク飛行場(kmzファイルはこちら)で、発射準備を全て終えたものとみられます」と報じました。

 10日夜、韓国のMBCは、北朝鮮がミサイル発射を準備している場所が、日本海側に位置するソンドク飛行場とわかったと、独自で報道しました。米韓情報当局が、ミサイル発射車両3〜4台をソンドク飛行場で確認し、その動向を集中監視していると伝えました。

 軍事評論家の岡部いさく氏は「複数の種類のミサイルを連射するということになれば、これは、それぞれの部隊が連携を取る必要があるわけで、一種の実戦演習のようなものになりますね。今回もし、一連の発射の中で、これまで1度も撃ったことのないムスダンも発射するということになれば、これは新型ミサイルの初のテスト、それと実戦演習、この2つを同時にやるという、かなり野心的な行動になるでしょう」と話しました。2006年7月には、午前3時半すぎから午後5時すぎにかけ、断続的に「スカッド」や「テポドン2号」などのミサイルを、計7発発射している北朝鮮。岡部いさく氏は「どのミサイルも、実戦用のものですから、昼でも夜でも発射できるはずです。しかし今回、ムスダンの初テストとして、例えばエンジンの燃焼の様子などを望遠カメラで撮影して、精密に観測したいというのであれば、少なくともムスダンは、日中に発射する可能性が考えられますね」と話した。


 昨日、ミサイルは実験場に配備されているのかと書きましたが、その後で、軍用飛行場に配備されていることが、韓国MBCによって確認されました。kmzファイルを使って、Google Earth上で位置を確認してみてください。

 正直なところ呆れました。本当に見つかりやすいところに配置しているとは思わなかったというのが本音です。意外な場所から打ち上げてみせて、世界をアッと言わせるつもりだと考えていたからです。米韓を過剰に刺激しないように、日常的に監視下に置かれている空軍基地に置いて、安心させようという意図が透けて見えます。これは戦争を行うための手法ではありません。戦争では、常に自分の意図は秘匿し、敵を錯誤に陥らせ、奇襲効果を生かそうとするものです。わざわざ、攻撃の手段を教えることなどあり得ません。やはり、北朝鮮は核攻撃能力を持つことを演出することに狙いを置いているのです。ここからオバマ政権はテスト発射(試射)だと判断したのでしょう。

 咸興市の南部を探せば、すぐに2ヶ所の軍用飛行場がヨンポリ(Yongpo-ri)とトンホリ(Tongho-ri)があることを確認できます。探してみてください。ここにもTELが配備されている可能性があります。

 すぐにマスコミか民間シンクタンクが商用衛星を使って、これらの飛行場の衛星写真を公表するかも知れません。

 ソンドク飛行場に何が配備されているのかは明らかではありませんが、中距離ミサイルのノドン、長距離ミサイルのムスダンだったとして、その軌道を考えてみました。

 ムスダンなら、まず性能を正確に確認したいと北朝鮮は考えるでしょう。ノドンと違って、これまで打ち上げ実験が確認されていないからです。すると、やはり軌道を計測して、性能を正確に把握するためには真東に向けて打ち上げる可能性が高いと言えます。ソンドク飛行場から方位90度に打ち上げた場合の軌道は下のようになります。

図は右クリックで拡大できます。

 日本に刺激を与えないように、できるだけ領土上を避けた軌道にした場合は方位77.25度の軌道になります。

図は右クリックで拡大できます。

 言うまでもなく、核戦力を誇示したいのなら、方位90度の軌道が適しています。

 インターネット上を見ると、このミサイル発射を心から恐れている人たちを見かけますが、実験用の模擬弾頭を飛ばすので、心配することはありません。仮に打ち上げに失敗しても、日本に到達するまでには宇宙空間に出て、それから再突入するため、地上に落下するまでには燃え尽きるかも知れません。ムスダンの再突入体が完成しているかどうかは分かりませんが、テポドン2号の再突入体が完成している徴候がないことから、ムスダン程度の弾道ミサイルでは、スカッドミサイルの弾頭では不足だろうという疑問もあるのです。

 しかし、日本政府は民間航空会社や海運会社に何の警告も出さないのは疑問です。北朝鮮が世界へ与える刺激をうまく調整したいのなら、民間機が飛ばない時間帯にミサイルを打ち上げる可能性もあります。あるいは、北朝鮮はそのことを、すでにアメリカに通告している可能性もあります。日本政府もそれを知っていながら、何も言わないのだとすれば、これは一種の共同正犯です。日米両国にも、ミサイル危機を演出して、ミサイル防衛システムをより正当化したいという意向があって、北朝鮮の行動を放任しているというのは考えすぎでしょうか。


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