イラクとシリアのアルカイダが合併

2013.4.10


 BBCによれば、イラクのアルカイダは、シリアで戦っている急進派グループがネットワークの一部であることをはじめて認めました。

 アル・ヌスラ戦線はシリアのイスラム国家のために戦っていると、イラク陣営の指導者は言いました。イラクのイスラム国家の指導者、アブ・バクル・バグダッディ(Abu Bakr al-Baghdadi)は、両グループがつながっていると付け加えました。「我々はイラクのイスラム国家の名とジャバット・アル・ヌスラ(Jabhat Al-Nusra's)の名を廃止することを宣言し、イラクとレヴァントのイスラム国家(The Islamic state in Iraq and the Levant.)という、一つの名の下で一つの国家に合併することを発表します」。

 alarabiya.netによれば、自由シリア軍の捕虜になったイラン軍の将校が木曜日に、この通信社と話し、アサド政権のために狙撃兵を訓練していたと言いました。

 彼は西部のイデリブ州(the province of Idlib)に数ヶ月間滞在し、兵士を訓練したと言いました。「私の名前はハミド・ウォソウク(Hamid Wothouq)。シラズ市(Shiraz)の出身です。私は狙撃兵と活動するために、5ヶ月間、アル・フォウア(al-Fouaa)とカフリヤ(Kafriya)に滞在しました。イランでは、私はバシジ部隊(Basij: イランの準軍事組織)に勤務しました。私はイランに助けて欲しいのです」。

 ウォソウクはトルコからシリアに入国し、反政府派と戦うアサド政権を助けるためにイラン兵がシリアの各地に散っているとされます。「アル・フォウアとカフリヤ、ボスラ(Bousra)、タートス(Tartous)、ダマスカスに、アサド軍と一緒に戦うイラン兵がいます」。自由シリア軍の指導者は、ウォソウクの拘束は貴重な発見であり、イラン兵やレバノンのヒズボラのメンバーがシリア国内にいないというシリア政府の主張に対する確固たる証拠だと説明しました。

 alarabiya.netによれば、自由シリア軍とアサド大統領の軍隊が南部ダルア州(Daraa)の、2年前に反乱が始まった戦略的都市で戦いました。

 反政府派のメディアは、自由シリア軍が勝利を主張した後、ダエル(Dael)に対して激しいロケット砲の攻撃があったと報じました。戦いは「殉教の母」と呼ばれました。

 反政府派は、ダマスカスと南部の幹線道路上にあるダエルを支配したと、金曜日に監視団体は言いました。「反政府軍は町の入口にある3ヶ所の検問所を破壊した後でダエルを占領しました」と人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は言いました。「この街はダルアからダマスカスにつながる幹線道路上に位置しています」。人口3万5千人を擁するダエルは、州内の反政府軍を攻撃するために政府軍が起点として活用していた点で、戦略的でもあります。

 自由シリア軍によると、金曜日にダエルは政府の支配から解放されたダルア州で最初の街になりました。自由シリア軍は、ダルア州の中心部に集中する政府軍への攻勢を始めると予想されます。ダエル占領はダルア州出身の政府支持者、ワリド・アル・ゾウビ(Walid al-Zohbi)が、反政府軍がダルア州のすべての町と村に向けて前進していて、政府軍が多くの陣地から撤退した後で、それらは東から西へと引き裂かれていると言った翌日に起こりました。「彼らは戦術的な理由で引き揚げたのかもしれません。しかし、どちらにしても、アル・ヌスラ戦線のテロリストが占領したのです」。

 日曜日、人権団体は反政府派がヨルダン国境からシリアとイスラエルの停戦ラインに沿った25kmの帯状地帯を占領したと報告しました。東部では、自由シリア軍はイラク国境付近の油田を支配し、中部のホムス州(the province of Homs)のアル・カセル地域(Al-Qaseer)にあるアル・タル地域(Al-Tal)を解放したと言いました。自由シリア軍は政府軍兵士8人を殺害したと付け加えました。反政府軍はアル・タルを支配した後、政府軍の走行車両2台、数量は不明ながら武器弾薬を押収しました。

 アレッポ州のハリタン市(Haritan)にスカッドミサイルが落下し、家屋50軒を破壊し、大半が女性と子供を死傷させました。自由シリア軍はクルド軍の助けを借り、アレッポ市近郊のアル・シェイク(al-Shaikh)を占領しました。

 首都では、政府軍が東部のアル・ゴウタ地方(Al-Ghota)への空爆を再開し、アル・サイアビヤ(al-Thaiabiya)とバダビヤ(Bahdaliya)で戦闘が起こりました。


 「レヴァント」とは、地中海の東側沿岸国のことで、普通、キプロス、エジプト、イスラエル、レバノン、シリア、トルコを指します。もともと、アルカイダの活動目的は、中東から西アジアに大イスラム帝国を建設することでした。その後の活動の停滞で、アルカイダはこの目標から大きく遠ざかったように見えましたが、シリアの内戦、イラク国内の派閥争いで、当初の目的を復活させたように見えます。

 シリア内戦が拡大することは、アルカイダを利することになるという問題があって、反政府派の支援も、それを考慮しながら慎重に行う必要があります。同種の革命が他の地域で起きる可能性もあって、同じ配慮が必要なのです。

 これはとてもまずい問題です。アルカイダへの熱を再燃させないような工夫が必要です。

 さらに、イラン兵がシリア政府を支援するために入国していることも確認されました。これは紛争を長期化させる要員になり得ます。止める手段がないのが問題です。

 これらの問題は、反政府派の勢力が障害を上回っていることで解消できるかも知れません。急進派グループを避けて、反政府グループへ効果的な支援を行うことしか方法はありません。

 戦況に関しては、時間がなくて、場所を確認できていません。しかし、南部では先日、ここで指摘したように、ダマスカスへの完全道路上で戦闘が繰り返されるのが現実化しています。当面、こういう戦いが南部では行われます。


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