ゴラン高原の平和維持軍が武装勢力に拘束

2013.3.7


 military.comによれば、ゴラン高原の国連平和維持軍隊員20人以上が、シリアの反政府派とつながる武装勢力に拘束されました。

 国連安全保障理事会は、彼らの即時無条件解放を要求しました。2月25日に、平和維持軍(UNDOF)のメンバー25人が行方不明になったという発表がありました。国連は平和維持軍の隊員が以前として行方不明のままだと言います。

 安全保障理事会議長、ロシアの国連大使、ウィタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)は、国連当局者と拘束者との間で交渉が進行中だと言いました。平和維持軍担当のエルベ・ラドサス(Herve Ladsous)は、秘密会議で理事会に説明し、シリアの反政府派と関連するグループだと確認しました。「我々への説明では、戦闘はありませんでした」「私の理解では、彼らはUNDOFのトラックを奪ったのです」とチェルキン大使は言いました。

 国連副広報官、エドゥアルド・デル・ビュイ(Eduardo del Buey)は、先週末、激戦で損害を受けて立ち退いていた監視所の近くで約30人の武装戦士に止められた時、約20人の国連監視員は通常の補給任務上にあったと言いました。

 人権活動家がインターネット上に投稿したビデオ映像は、武装した反政府派が、ダルア州(Daraa province)のイスラエルに接するジャムラ村(Jamleh・kmzファイルはこちら)とされる場所で、少なくとも3台の、UNDOFと記された、白い国連車両の回りにいるのを映していました。人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」が配布したビデオ映像は、拘束された平和維持軍はフィリピン人20人だと言いました。同団体は、反政府軍兵士11人、政府軍兵士19人が死んだ戦いの中で数日前に反政府派戦士が占領したゴラン高原の近くの場所に再配備することで、シリア軍を支援したと平和維持軍を非難します。

 ヤルモク殉教者旅団の公報、アブ・カエド・アル・ファラ(Abu Qaed al-Faleh)は、このグループは、シリア軍がジャムラから撤退するまで平和維持軍を拘束していると発表しました。「彼らはアサドの軍隊がイスラエルに接するジャムラ村から撤退するまでは解放しないでしょう」。


 記事の一部は省略しました。

 ヤルモク殉教旅団の要求には無理があります。UNDOF隊員の命がどうなろうと、シリア政府には関心がないことです。要求に応じて、ジャムラから撤退するわけがありません。対外的にも、国連の要員を拘束している点で、西欧やアラブ連盟などの支援国から批判を浴びかねません。

 しかし、「the Syrian Observatory for Human Rights」がビデオ映像を配布していることから、このグループはさほど過激な行動をとらないと予想されますから、遠からず、人質は解放されるのではないかと、私は予想します。


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