ダマスカス大学に迫撃砲弾が落下

2013.3.29

 BBCによれば、ダマスカス大学のカフェテリアに迫撃砲弾が命中し、学生15人が死亡したと、国営メディアが報じました。

 この攻撃で、シリア政府は反政府派を非難し、負傷者多数とも言いました。迫撃砲弾は建築学部(kmzファイルはこちら)に命中しました。

 国営アル・イカビリヤ・テレビ(al-Ikhbariya TV)は、迫撃砲弾がカフェテリアな命中したと言いました。テレビ局は、医者が現場の真ん中で犠牲者を救おうとしていて、ひっくり返ったテーブルとイス、割れたガラスと床の血を映しました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、数発の砲弾が命中し、負傷者が多数出たと言いました。

 月曜日以降、ダマスカス中心部では少なくとも5人が迫撃砲で殺されているとAFPは報じました。今週早くに、迫撃砲弾は大学の法学部(kmzファイルはこちら)に着弾しました。

 トルコからシリアへのシリア人難民の移送に関して、矛盾する報道があります。

 それはシリア国境に近いトルコ領内のアクチャカレ(Akcakale)に近いのキャンプで、警察と悲惨な生活環境に抗議する大勢の難民が水曜日に衝突したあとに起こりました。

 警察は催涙ガスを発射し、大勢が負傷したと、イスタンブールにいるBBCのジェームズ・レイノルド記者(James Reynolds)は言います。トルコの通信社「Dogan」は、騒動を起こした数百人の難民を国外退去にしたと言います。トルコ外務省はこの説明に異議を唱えました。ある当局者は50〜60人の難民がキャンプを去り、シリアへ戻るように求められ、彼らはそうすることを認められたと、特派員は言います。

 alarabiya.netによると、反政府派の報道機関「the SANA Revolution Network」は、イランの武器を運んでいる民間機を撃墜したと報道しました。

 自由シリア軍はダマスカス国足空港に航空機が着陸しているときに攻撃したと、SRNは報じました。国営「The Syrian Arab News Agency」はこの報道を否定し、空港は何もかも平常通りだと言いました。しかし、YouTubeに投稿されたビデオ映像は、空港に着陸しようとした航空機が燃えているのを映しました。


 迫撃砲による攻撃が続いていることが確認できました。しかし、誤爆らしい事件が起きています。誤爆と考えられる理由は、建築学部が国防省(kmzファイルはこちら)の建物に近い位置にあるからです。kmzファイルで各場所の位置関係を見れば、一目瞭然です。

 建築学部は先日紹介したオペラハウスの南東70mにあり、建築学部の北350mには国防省があるのです。建築学部から東に400mのところに法学部があります。国防省のビルの東側にも軍関係の施設が並んでいて、ここを狙った砲弾が逸れて、大学校内に着弾した可能性があります。しかし、建築学部はともかく、法学部への着弾ははずれすぎとの印象です。

 もちろん、これは推測です。意図的に大学を狙ったのなら、悪質な国際法違反です。

 難民キャンプでの暴動は、この内戦を終わらせるべき時が来ている徴候です。すでに、難民の数は支援の能力を上回って増えていて、このままでは壊滅的な状況になりかねません。

 航空機を破壊したというビデオ映像ですが、燃えている航空機を示した映像は見つけられませんでした。見つかったのは着陸しようとする航空機の映像だけです。YouTube上で再生前に見える映像では航空機が燃えていますが、CGで制作されたように見えます。記事がいうビデオ映像はこれなのでしょうか?。下は検索できた映像です。

 また、反政府派がこの航空機にイランの武器が積まれているという確証があったとは思えません。旅客機なのか輸送機なのかを判別しても、中に何が積まれているかまでは分からないからです。もし、旅客機を攻撃したとすれば、これは重大な国際法違反です。しかし、シリア政府が何も言っていないところを見ると、それはなかったのかも知れません。


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