内戦長期化でシリア政府に変化?

2013.3.14


 alarabiya.netによれば、シリアの反政府派と戦う政府軍のニュース報道で、シリア国営テレビはアルカイダが一般的に使うバックグラウンドミュージックを使いました。

 宗教歌の題名は「我らは君と共に戦う」で、シリアの他のイスラム主義者グループと、アルカイダ、アル・ヌスラ戦線が戦時に戦士を宣伝する時に使います。

 火曜日に放送された国営テレビは、シリアの大イマム、アフマド・ハッソン(Ahmad Hassoun)がアサド政権のために戦うことは宗教的義務だというファトワ(宗教令)を出した後に放送されました。しかし、宗教的な決定はアサド政権の声明と矛盾すると考えられています。体制は繰り返し、2年間のシリア内紛は非宗教的国家と急進的なイスラム主義者の間で戦われたと言いました。アサド大統領は日曜日にタイムス誌に、シリアはこの地域で最後の非宗教的国家であり、彼が退陣することはイスラム主義者を権力の座につける道をつけると言いました。

 military.comによれば、シリアの主要都市で激戦が続いています。

 国営通信社SANAは迫撃砲弾2発がダマスカスのアル・ボクタヤ(al-Boukhtyar)の孤児院の近くで爆発し、人数は不明ですが死傷者が出ました。孤児に犠牲が出たかどうかは不明です。政府派のアル・エカバリヤ・テレビ(Al-Ekhbariya TV)は、家と車が燃え、消防士が火災を消火しようとしている映像を放送しました。人々は泣き、反政府派を罵りました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」 は水曜日に、首都のジョバル(Jobar)とバルゼ(Barzeh・kmzファイルはこちら)周辺に集中しました。この地域の匿名希望の住民は、砲撃が夜通しアパートを揺るがし、住民を怖がらせたと言いました。

 自動車爆弾がダマスカス西部のカーン・シーア(Khan Sheih)の警察署の外で爆発しました。爆発の後で激戦が起こりましたが、今のところ犠牲者については報じられていません。

 ホムスを含む他の都市でも戦闘がありました。

 ダマスカス郊外のダラヤ(Daraya・kmzファイルはこちら)で火曜日に、はじめて欧州連合の職員が殺されました。32歳のアフマド・シハデア(Ahmad Shihadeh)は5年間、欧州連合のために働きました。シハデアはダラヤに住んでいました。彼は人道支援をダラヤの住民に提供している間に死亡しました。

 水曜日、シリアで昨年誘拐されたウクライナのジャーナリストは、反政府派に150日以上拘束された後で脱出しました。アンカル・コチェンヴァ(Ankhar Kochneva)はホムス州にいる自由シリア軍のファルク旅団(the Farouk Brigade)のメンバーに捕まったと言いました。彼女は拘束された場所への砲撃と食糧が不十分で死にかけたと言いました。彼女は警備兵が寝ている間に家から逃げ、監視所を避けて、近くの農地で働いていた村人の助けで逃げました。身代金は払われませんでした。「彼らは金で民間人を殺す武器を買うから、私は命を金で買いたくありませんでした」と彼女は言いました。


 国営テレビのバックグランドミュージックの件は、悪い冗談のように聞こえましたが、ハッソン師のファトワも含めると、次第にシリア政府が無宗教からイスラム教の力で最後の統率を試みていることが分かります。これは政権の末期を示す徴候かも知れません。いくら無宗教だと言っても、結局はイスラム教でまとまるしかないのがシリアの実状なのです。この変化はこれからの報道を注意深く見て、その性質を見極める必要があります。

 記事にはニュース映像の動画も掲載されているので、よく耳慣れたメロディを聴くことができます。

 戦闘ではカーン・シーアの警察署での戦闘が気になります。場所が正確に分かっていませんが、西部でも戦闘が起きていることは、反政府派が大統領宮殿に向かっていることを示すように思われます。


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