反政府派がホムス奪還で奇襲攻撃を開始

2013.3.11


 BBCによれば、内紛が終わらないと、シリアの難民は2〜3倍になる可能性があると国連難民担当官は言いました。

 隣国のトルコで、アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)は危機があまりに長く続くと中東全域に爆発する危険性があると警告しました。「いま、紛争が進展し続け、問題を解決するために何も起こらないと、年末には難民がずっと多くなるかも、現在の2倍か3倍のレベルになるのを見るかも知れません」。

 alarabiya.netによれば、日曜日に、武装勢力が昨年政府軍が破壊した元反政府派の拠点を攻撃した後、シリア軍の軍用機がホムスのババ・アミル地区(Baba Amr・kmzファイルはこちら)を空爆したと、人権団体は言いました。「空軍がババ・アミルを爆撃しています」と「Syrian Observatory for Human Rights」のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は言いました。ババ・アミルには、昨年3月に政府軍が確保してから、多くの住人が戻っていました。

 反政府軍は、1年前に、1ヶ月以上続き、数百人が死んだ流血の作戦で政府軍に追い払われてからはじめて、未明に荒廃したホムス周辺へ奇襲攻撃を始めました。人権団体はシリア中部は政府軍に完全に包囲されており、誰も出入りする権利を持たないと言いました。政府軍はババ・アミル周辺のいくつもの道路を封鎖していて、ほとんど完全に包囲しています。

 反政府派が元反政府派拠点に未明に奇襲攻撃を始めたと報告された後、反政府軍戦士はババ・アミルの支配を得たと言いました。地元調整委員会の活動家は、ババ・アミルは戦士に占領されたと報告した1時間あと、別の活動グループは彼ら自身の未明攻撃を報告しました。「未明に、反政府軍はババ・アミルに奇襲攻撃を始め、彼らは中に入りました」とラーマンは言いました。「反政府軍はババ・アミルに夜の内に侵入しました。政府軍の検問所は何が起きているのかを理解するのに時間がかかりました」。

 昨年3月27日、政府軍が取り戻したババ・アミル地区をアサド大統領が訪問し、国営テレビにババ・アミルが復興し、通常の生活を取り戻すと放送させました。

 ババ・アミルの急ごしらえのメディアセンターを政府軍が砲撃し、アメリカ人とイギリス人の記者、フランス人カメラマンの3人が死亡しました。

 ホムスの80%を支配する政府軍は数日前に攻勢を開始し、反政府派の飛び地を、特に北部のカルディヤ(Khaldiyeh・kmzファイルはこちら)地区と旧市街(kmzファイルはこちら)をヘリコプターで爆撃しました。「他の地区が支配下にある状況を考慮して、政府軍はそれらへの配備を減らし、特にカルディヤ地区を奪還する事に集中しています」とラーマンは言いました。人権団体によれば、「反政府派はババ・アミルへの奇襲攻撃で、この状況の利点を活用しました」。ホムスの政府軍兵士は先週、アル・ヌスラ戦線が行った検問所への爆弾攻撃で散開させられたように見えます。


 記事の一部は省略しました。

 グテレス氏の見解は当たっているかも知れません。現在でも、高レベルにある難民の数は国内のシリア人が国外に出ようとすることで、さらに増加する可能性があります。遅くとも、今年の夏までには戦いを終わらせないと、3年目の冬はさらにひどい状況になります。

 先日、ホムスを反政府派が支配しているという情報がありましたが、やはり、まだ政府軍が優勢であることが、この記事で明らかになりました。この記事の方が正確だと考えられます。この戦いがホムス攻略の足がかりになるのでしょう。3月中にホムスを陥落させれば、何らかの変化がシリア政府内に起きるような気がしています。それでも、アサド政権が負けを認めない可能性もありますが、どう見ても政府側の負けが内外に明らかになるターニングポイントなのは間違いがありません。


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