ダマスカス東部で激戦が展開中

2013.2.7


 BBCによると、シリアのダマスカス東部で激しい戦闘が起こりました。

 反政府派がRPGと迫撃砲で政府軍の検問所を攻撃した後、地元当局は主要な円形交差点のアバサイド・スクエア(Abbasid Square・kmzファイルはこちら)とファレス・アル・キョウリ通り(Fares al-Khouri Street・アバサイド・スクエアから北東に延びる道路)を閉鎖したと、人権活動家と目撃者は言いました。「ジョバル(Jobar・kmzファイルはこちら)、ザマルカ(Zamalka・kmzファイルはこちら)、ザブラタニ(Zablatani・kmzファイルはこちら)、ケボウン(Qaboun・kmzファイルはこちら)と環状道路が戦場になりました」と活動家のフィダ・モハマンド(Fida Mohammad)は言いました。別の人権活動家は、アル・カバス(al-Kabbas)の道路傷害に配置された戦車が破壊され、ジョバルのモスクから「神は偉大なり」という詠唱が放送され、メダン地区(Medan・kmzファイルはこちら)に配置された戦車が南部地域を砲撃したと言いました。

 国営メディアのSanaは、政府軍は「アルビーン(Arbeen・kmzファイルはこちら)、ザマルカ、ハラスタ(Harasta・kmzファイルはこちら)、サビナ(Sabina)のテロリストたちに対して作戦を続けており、犯罪的嘘を破壊しています」と言いました。

 地元ではタドムル(Tadmor)として知られるパルミラ(Palmyra・kmzファイルはこちら)に対して、地元時間午前6時頃に攻撃が行われました。最初の爆弾犯は爆薬を満載した車を爆発させて街の中の軍の情報施設の壁を破壊し、2番目の襲撃者が穴を車で通り抜け、車内で爆弾を起爆し、施設の一部を破壊しました。人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、少なくとも19人の軍メンバーが殺され、多数が負傷したと言いました。地元活動家のアブ・アル・ハッサン(Abu al-Hassan)は、情報施設の内部に配置された戦車が、攻撃に続いて、隣接する居住地域を砲撃し、数人の民間人を殺したと言いました。人権団体は、爆発の後に続いた銃撃で民間人8人が負傷し、一部は重傷を受けたと言いました。Sanaは、爆発で数人が死傷し、資材に大きな損傷を受けたと言いました。

 2011年の反乱が始まった時、パルミラで抗議活動があり、政府軍はそれ以来、街の支配を強化してきました。軍は主要なパイプラインの交差点の近くには位置されています。パルミラはローマ時代の遺跡で世界に知られています。また、1980年代に、故ハーフェズ・アル・アサド大統領(Hafez al-Assad)に対する反乱の後で、多くの国民が拘留され、拷問、処刑された悪名高い刑務所がある場所でもあります。

 別の展開で、反政府派連合はシリア政府にファルク・アル・シャラ副大統領(Vice-President Farouq al-Sharaa)に会談を申し込みたいのなら、日曜日までに拘留者を解放しはじめなければならないと言いました。国家連合の指導者、モアズ・アル・カティブ(Moaz al-Khatib)は「すべての女性が解放されることが必要です。女性が刑務所の中にいるままなら、私は政府が我々の提案に応えていないと考えます」と言いました。先週、カティブは、刑務所と情報施設に拘留されていると考えられる160,000人の国民が釈放され、シリア大使が新しいパスポート交付を再開するという2つの条件がみたされるならば、直接対話の用意があると発表しました。


 記事は一部を紹介しました。

 時間がないので簡単に書きます。

 ダマスカスの戦闘はさらに反政府派が有利に展開しているように見えます。

 パルミラでの戦闘も重要です。前にも述べたとおり、ここはシリア北東部の油田からホムスへ至るパイプラインが通る街です。ホムスが陥落すると、シリア政府は石油資源を活用できなくなります。すでに北東部は反政府派が押さえているようですが、パイプラインを完全に掌握されれば、ほとんどすべての希望が失われることになります。石油が現在、ホムスにどれだけ送られているのかは不明ですが、その量は内戦の状況に大きな影響を与えます。

 反政府派の提案をシリア政府が受け入れる可能性は非常に低いと思われます。こういう交渉は負けている側がするものであり、相手から低く見られるからです。もし、シリア政府が受け入れるようなら、政府内の状況がかなり悪いとか、アサド大統領を追放する動きが内部に高まっていることになります。反政府派は交渉よりも、国内難民のケアや反政府軍の戦力向上に集中した方がよいと思われます。


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