シリア反政府派が解放地域に政府組織を樹立へ

2013.2.23


 BBCによれば、シリアの国家評議会は金曜日に、反政府派が解放した地域を運営するために政府を形成し、3月初めに首相を指名するために会議を行うことを決めました。

 カイロでの会議の後で「我々は解放地域の問題を管理するために政府を形成することに合意しました」と、ワリド・アル・ボンニ(Walid al-Bonni)は言いました。彼は同盟は3月2日にイスタンブールで、政府の構成を決め、トップを選ぶために、会合を行うと付け加えました。

 「解放地域で混乱が支配するところで状況が悪化している一方で、アサドが支配している地域では今でも、燃料、電気、基本的なサービスがあります」と、反政府派と接触したある外交官は言いました。「この状況がこの調子のままなら、反政府派への大衆の支持は減少し、彼らは戦いに負けるでしょう」。

 「たとえ政府がいまは存続可能ではなくても、我々は首相を指名し、彼に地域内にいる、それを望む人たちにメッセージを送らさせなければなりません」と同盟の高官は言いました。

 別の情報源は、反政府派の唯一の組織化された政治力が現段階での政府の形成に反対しているという、ムスリム同胞団を含めた同型の中の障害について言いました。ムスリム同胞団の反対は、先月のイスタンブールでの会議で、同盟の事務局長であり、湾岸諸国とよい関係を持つビジネスマンのムスタファ・アル・サバーグ(Mustafa al-Sabbagh)が支持した、元首相のリアド・ヒジャブ(Riad Hijab)を首相に指名する試みを無にさせました。アサド政権からの離反者で最も高位のヒジャブは、同胞団と良好な関係を持っていません。しかし、同盟の中の一部のリベラル派も、バース党に長期間使えたことで、彼に反対します。「ヒジャブは正しいことを言ってきたし、行政官でもあります。彼には資格がありますが、政権での経歴が邪魔になっています。我々は今夜が終わるまでに意外な名前が出回るのを見られるでしょう」と、同盟のメンバーは言いました。

 1970年代にアサド大統領の父親に反対してシリアを出国したムンター・マコス(Munther Makhos)は、政府は解放地域で活動できるようにするために、アサドの空軍と長距離兵器を寄せ付けない能力を持った反政府軍を必要としていると言いました。「政府を作って、それを体制に狙わせるプレゼントとして与えるのは意味がありません」とマコスは言いました。

 同盟のモアズ・アルカティブ大統領(president Moaz Alkhatib)は、明確な目標を設定することなく、アサド政権との対話を提案したことで、イスラム主義者とリベラル派から強い批判にさらされました。同盟はアサドの排除と流血に対する裁判を要求する政治的文書を採用しました。同盟が発表した声明は、いかなる政治的解決もバシャル・アル・アサド(Bashar al-Assad)の排除と、軍と治安組織のトップに国家を懇談会にまで導いた決断に対する責任があるということに基づかなければならないとしました。声明には、いかなる将来的なイニシアティブも、同盟の12人の共同指導部から発せられなければならないとありました。


 記事は一部を紹介しました。

 政府組織うんぬんよりも、解放地域に生活に必要なインフラを整備することこそ重要です。そのために政府を樹立する方向なら問題はありません。政府としての格を持たせることで、海外からの支援も受けやすくなるかもしれません。政府という以上は、国連参加も視野に入ってきます。その場合、イスラム過激派が反政府内にいる問題を解決する必要が出るでしょう。

 結局、アサド大統領の処遇は「排除」の方向で話が固まったようです。反政府派が軟化しても、アサド政権の態度は変わらないという判断でしょう。

 政治的解決という選択肢は消えつつあるようです。ロシアが言うような、都合のよい政治的解決はありそうにありません。私は前から主張していますが、一定の形で、外国の軍事的介入があれば、内紛は短期化します。空軍や弾道ミサイルなどへの打撃は反政府派には困難です。シリア政府は、外国の介入があれば、大量破壊兵器を使うと警告しています。よって、介入する段階をどう決めるかは困難です。

 すると、反政府軍の強化こそ最重要課題だと言えることになります。これも、反政府軍にイスラム過激派が増えたことで、外国の支援が困難になっています。

 よって、戦いは長期となり、すぐには結果が出ないということになります。これはシリア国民に最低限必要なインフラを整備することこそ、緊急課題だという結論を導きます。

 さらに、より謀略的な手法を考えるのなら、政府支配地域への電気、水道などのインフラを破壊するという手段が考えられます。それはアサド大統領の支持率低下を招きます。しかし、生活に最低限必要な施設を攻撃するのはジュネーブ条約で禁じられています。反政府派が国際社会に認められるためには、国際法を守る必要があります。

  特効薬はなさそうです。政府軍がどれだけ機能しているかが正確に分からないことが、判断を一層むずかしくしています。案外、簡単に政府軍は壊滅するのかも知れませんし、最後まで粘り強く戦うのかも知れません。私の感覚では夏くらいまでには決着するように思えますが、それは報道記事だけからの判断です。

 自由シリア軍に、軽火器やトラック、装甲車程度の兵器を提供するくらいなら、私は大きな問題に発展することはないと思います。そうすれば、アル・ヌスラ戦線などのイスラム過激派の部隊に自湯シリア軍が優位を保ちつつ、シリア政府を追い詰められます。一石二鳥と思えるのです。


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