愛知県で13日に微量のキセノンを検出

2013.2.22


 読売新聞によれば、文部科学省は21日、北朝鮮が核実験を実施した翌日の13日に航空自衛隊機が愛知県沖上空で採取した大気から、放射性キセノンを検出したと発表しました。

 通常でも検出される微量な値で、「核実験で生じたものかどうかは不明」としています。測定値は1立方メートルあたり1.9ミリ・ベクレルで、東京電力福島第一原子力発電所事故前の最大値(同6.7ミリ・ベクレル)よりも低いものです。放射性キセノンは、核実験や原発運転の際の核分裂反応で生じる希ガスで、医療用にも用いられます。同省によると、地上での観測で1年に数回は検出されるといいます。


 もう少し多くのキセノンが検出されたのなら、核実験の結果と考えるのに問題はありません。しかし、通常でも検出されている分量ということなら、そうとは言い切れません。

 毎日新聞によれば、航空自衛隊が採取したのは高度300mの大気です。それほど高い高度の大気ではない点も引っかかります。キセノンガスは大気中に微量に含まれるので、大気を大量に採取して製造します。エアウォーター社の鹿島工場など、全国各地の工業地帯に製造工場があるのが実態です。製造したガスは様々な現場で使用されます。病院では麻酔科医がキセノンを麻酔として用い、余剰ガスを大気中に放出することがあります。 電子工学でもエッチングなどに使用されます。こうして人工的に製造されたキセノンガスが検出された可能性を排除できません。

 より北朝鮮に近い韓国で検出されていないものが、どうして日本の低低高度で検出されたのかが分かりません。正直なところ、どう判断すべきか迷うところです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.