ロシアがシリア政府への武器輸出を認める

2013.2.14


 BBCによれば、水曜日にロシアはシリアへ軍事用ハードウェアと軽火器をシリア政府に供給していることを認めました。

 ロシアの武器輸出企業「Rosoboronexport」のトップ、アナトリー・イザイキン(Anatoly Isaikin)は、ロシアがアサド政権へ、ダマスカスが要請したイスカンデルミサイルは除いて、防空システムを送ったと言いました。「我々は軍事用ハードウェアを配送する契約上の義務を果たし続けています」とイザイキンは言いました。彼はマリへも軍事援助していると言いました。彼はロシアがMiG29-Mをシリアへ送る計画だったという報道を否定しましたが、Yak-130訓練用ジェット機の契約があることを認めました。イザイキンはロシアの武器供給を受けている国のリストの中で、シリアは現在、売上高で13番目か14番目にランクされると言いました。

 ロシアは国連が70,000人以上の命を奪ったとする暴力に関係なく、シリア政府とのつながりを維持していることで、西欧とアラブ諸国から繰り返し批判されてきました。今年、修理した攻撃ヘリコプターをシリア政府へ出荷したことがマスコミに報じられると、ヒラリー・クリントン国務長官(secretary of state Hillary Clinton)から厳しい反応が出されました。

 イザイキンはモスクワが最近、イスラム武装勢力を国内から追い出すために、フランスが主導する軍事作戦を行ったマリ政府と軍事契約を結んだことも明らかにしました。彼は少量の軽火器がすでにマリに出荷され、新しい商談の最中だと言いました。「我々は火器を届けてきました。まさに2週間前には別の積荷が送られました。完全に合法的な出荷です」とイザイキンは言いました。「我々はさらなる少量の出荷ついて、話し合っています」。


 「Rosoboronexport」は国営企業で、イザイキンはKGB出身ですから、彼の声明はロシア政府の声明と同等の信憑性を持ちます。それに、武器売買の世界では、さほど驚くような話ではありません。

 昨年7月にロシアは、過去の契約は継続するものの、新しくシリアに武器を売ることはないと声明しました(関連記事はこちら)。この記事はそれと同等のことを言っているように思われます。

 気になるのは防空システムも過去の契約のものかどうかですが、いずれにしても、これは反乱に乗じて、周辺国や欧米が軍事介入する場合に障害になります。再三、私が書いているように、シリア軍にとって反政府派に諸外国が航空支援を与えることが最も嫌なのです。

 外国がシリアに軍事介入するには、ロシア製防空兵器を突破する必要があります。代理戦争の時代は終わりましたが、軍事介入が行われた場合は、西欧とロシアの武器の優秀性が競われることになります。そういう軍事介入は反政府派がダマスカスの大半を支配し、それでもなおシリア政府が交戦を続けるような場合、あと一押しの必要がある時にだけ実行されるでしょう。


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