北朝鮮が核実験を実施か?

2013.2.12


 北朝鮮が豊渓里の核実験場(kmzファイルはこちら)で3度目の核実験を行ったと発表しました。

 ロイター通信によれば、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)は、北朝鮮で観測された異常な地震はマグニチュード4.9で、2009年に北朝鮮が核実験を行った際に観測されたマグニチュード4.52を上回りました(CTBTO発表に基づく震源地のkmzファイルはこちら)。

 日本の気象庁の発表では、発生時刻午前111時57分50秒、マグニチュード5.2、場所は北緯41.2°、東経129.3°です(関連資料はこちら)。

 韓国の気象庁の発表では、発生時刻午前11時57分53秒、マグニチュード5.1で、地質資源研究院はマグニチュード4.9と発表しました。

 時事通信によれば、ロシア国防筋は、爆発規模が勧告国防省が推定した6〜7キロトンよりも大きいと述べました。正確な規模は「関連当局が収集したデータの分析後に判明する」としています。

 中央日報は、北朝鮮の朝鮮中央通信が「われわれの国防科学部門は主体102(2013)年2月12日、北部地下核試験場で第3次地下核試験を成功的に進行した」「米国の暴悪武道な敵対行為に対処し、国の安全と自主権を守護するための実質的対応措置の一環として行われた」と発表したと報じました。一方、朝鮮中央通信は、核実験で小型化・軽量化した原子爆弾を使用したが爆発力は高まり、周囲の生態環境にも否定的な影響も与えなかった、と伝えました。


 まだ、本当に核実験だったのかは確認されていません。核爆発固有の放射性物質が確認されていないからです。これは日韓米がそれぞれ航空機を飛ばして観測するはずなので、追って発表されるでしょう。

 マグニチュードは観測した組織によって微妙に異なりますが、この程度の揺れが観測されたことは間違いがありません。ロシアが最終的にどういう発表をするのかが気になるところです。

 北朝鮮の言い分は聞く必要はなく、我々は客観的事実だけを追うべきです。アメリカが悪いといった北朝鮮の主張は単なる口実です。北朝鮮は体制を維持するために軍国主義に走り、その結果、核による恫喝を選んでいるだけであり、アメリカの政策が何であれ、核実験を行ったことでしょう。小型化、軽量化も、テポドン2号の打ち上げに合わせ、それに搭載できる核弾頭を持っていると言いたいだけです。本当に小型化に成功したかどうかは証拠がありません。1トン程度に軽量化できても、テポドン2号にとって、この重量はかなりの負担で、アメリカまで届くかどうかが疑問です。ロケットの射程は、ペイロードの重量によって著しく変化します。生態環境への影響がないという結論は、さらに信憑性がありません。地下水が豊富な北朝鮮で、地下核実験が地下水を汚染しないとは考えにくいのです。また、こうした問題は長期にわたって観測して確認されることであり、実験当日に結論が出るはずはありません。

 北朝鮮が核爆弾を完成させたかどうかは謎のままです。亡命北朝鮮人の中には、核爆弾は完成していると聞いたという人はいます。しかし、彼らが聞いた話が本当かどうかは分かりません。というのも、体制を維持するためには、核爆弾のような強力な兵器を持っていると国民に信じ込ませた方が都合がよいからです。長距離弾道ミサイルを開発しているという状況証拠から、当然、核爆弾は完成しているはずだと考えることもできます。しかし、過去の戦争で欺瞞工作が繰り返されたことは説明を要しません。旧ソ連は、原子力で飛ぶという航空機を完成させたと信じられたことがありました。

 外から見る分には、北朝鮮の核・ロケット開発はパッチワークのような感じがします。統一された計画によって動いているようには見えません。テポドンが核爆弾を積んでアメリカまで飛ばせるとしても、秘密裏に発射できる地下発射場をいくつもつくらないと意味はありません。そうしないと、地上で組み立てを始めた途端にトマホークミサイルで破壊されてしまうからです。また、一度使った地下発射場は直ちにアメリカの反撃を招き、破壊されてしまうでしょう。巨大なミサイルを開発するくらいなら、Grobalsecurity.orgが公表しているように、ノドンミサイルを貨物コンテナに入れ、貨物船でアメリカの近くまで運んで発射する方が効果的ということになります(関連記事はこちら)。

 それなのに、なぜ国民の窮状を無視してまで、大量破壊兵器を造ろうとしているのかは、本当に謎です。


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