中国艦が米巡洋艦カウペンスに急接近

2013.12.23


 毎日新聞によると、ヘーゲル米国防長官は19日の記者会見で、米海軍のミサイル巡洋艦「カウペンス」が今月5日に南シナ海で中国海軍の艦船と衝突しそうになり回避措置を強いられた問題について、「(中国艦の行動は)無責任だ」と強く非難しました。

 長官は「中国艦はカウペンスの100ヤード(約91メートル)前方の進行方向に割り込んでおり、責任ある行動ではなかった」と指摘。「偶発的な誤算の引き金になり得る」とした上で、「我々は誤算が起きることを望んでいない」と述べ、アジア太平洋地域で中国と不測の事態を防ぐための仕組み作りに取り組んでいることを強調しました。


 今朝、ラジオを聴いたら、あるキャスターがこの記事を取り上げ、とても気になると言っていました。しかし、それほどの大事でしょうか。

 実はカウペンスは、身内同士で似たようなことを行った経歴があり、当サイトで取り上げていました。(過去の記事はこちら

 2010年3月、カウペンス艦長だったホリー・グラフ大佐が部下へのハラスメントが原因で解任・降格されました。沖縄の沖合で駆逐艦ジョン・S・マケインとレースを行い、接触しそうになった件も問題視されましたが、こちらは最接近距離が隊員によって証言が異なるとしてうやむやになっています。グラフ大佐はその後、普通除隊が認められました。

 身内同士のお遊びはよくて、中国がやるとダメというのではダブルスタンダードですし、中国艦との距離は計測しているのに、身内の場合は計測していないのでしょうか。私は計測したけど公にしなかった可能性の法が高いと思います。

 先の過去記事から重要な部分を抽出します。

 報告書は、レースがあったことは疑いの余地がないが、艦を危険にさらしたことが証明されていないと書いています。これを証明するには、艦が失わせたり損傷させた実際の出来事、艦が損失するか深刻な損傷を受ける差し迫った危険に置かれた状況があり、艦長がそれを故意に行ったことを示す必要があると、監察官は言いました。海外勤務の長い当局者は、公海上でのレースは珍しくなく、士気をあげるため、一種の操船演習として行われています。

 軍艦は他の船と接近する際は、距離を測定するものです。船は車のように自在に静止できません。実際、中国軍との距離は測定していました。おそらく、ジョン・S・マケインとの距離も、中国艦と変わらなかったでしょう。ただし、接近したことを、グラフ大佐が特に意図したわけではなかったので、問題にはされなかったのです。

 ヘーゲル国防長官が声明を出して、中国を牽制するのは当然ですが、こうしたことは、軍隊同士でしばしば行われることでもあります。


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