イギリスでもカーンの検死を実施へ

2013.12.22


 BBCによれば、シリアで死亡したイギリス人医師、アッバス・カーン(Abbas Khan)の家族が、ベイルートの死体置場を訪問し、国際赤十字委員会が運んだ彼の遺体と対面しました。

 彼の母親、ファティマ・カーン(Fatima Khan)は「彼らは私のベイビーを殺しました」と言いました。

 カーンの死体は日曜日の朝にベイルートからロンドンへ空輸されます。家族は死体を検死官にみせるよう手配しました。

 ロンドン警視庁のテロ対策本部が家族に連絡支援を提供し、適切な時に検死官を助けようとしています。

 カーン氏は昨年11月にシリアに入国した48時間後に逮捕されました。王立整形外科病院で働いた整形外科医の彼は、ビザを持たずに人道支援活動でシリアに入国しました。

 ファティマは、シリア政府が人道支援とテロリストの区別をつけられないことに驚くと言いました。「命を奪うのではなく、命を与えるのが彼の仕事でした。彼は蟻一匹殺せません」。息子は女性と子供を治療していただけだと彼女は付け加えました。

 ファティマは、彼女の息子、アフロズ(Afroze)と一緒にインタビューを受けました。アフロズは、シリアから死体が輸送される5日間は家族への打撃を与えたと言いました。「我々は今日、彼がダマスカスの記者会見において釈放されると約束されましたが、今日、我々は死体を受け取っています」。彼は助けるといながら、そうしなかった人たちへの沢山の怒りがあると言いました。最初から外務省のやり方は、遅く、不適切で、私の兄弟の保護をほとんど無視しました」。「確かに、彼らは継続的に我々に接触しましたが、現場で何の影響も果たしませんでした」。

 イギリス外務省はイギリス人の本国送還についてはコメントしないと言いました。

 ファティマは息子を探すためにダマスカスへ行き、息子を釈放する努力の中で、ロシアとシリア大使館だけでなく、イギリスとシリア両政府に接触しました。彼はダマスカスの刑務所から国家安全保障局本部まで移動させられ、今週釈放されることになっていましたが、月曜日に死亡しました。

 「私は息子を取り戻せることになって幸せでした」「こんなハンサムで健康な医師をどうして殺せるといいますか?。カーンは7人兄妹の一人で、彼の妻のハンナ(Hanna)、7歳の息子アブドラ(Abdullah)、6歳の娘ラッカヤ(Ruqquaya)を残して死にました」。


 記事は一部を紹介しました。

 イギリスでも検死を行うことが確認できる記事です。これで2つの検死報告書が出ることになります。シリアですでに行われた検死結果はまだ分かりません。

 カーンの首や身体にあるはずの鬱血の状態により、自殺か他殺かは明確に判断できるはずです。首つりは正確には「縊首」といい、他人が首を絞めた場合に出るのとは違う鬱血があるはずです。また、身体に抵抗の際にできた鬱血もあるはずです。絞殺しようとすれば、被害者は激しく抵抗し、誰かがそれを強い力で押さえつけることになります。その際に、身体のあちこちに鬱血が生じるはずなのです。

 もちろん、自殺だった可能性も否定できません。何が起きたかまでは分かりませんが、カーンに釈放とは別の情報が与えられたのかも知れません。それがカーンに発作的な自殺を起こさせた可能性は十分にあります。

 家族はイギリス外務省の対応に不満のようですが、日本の外務省に比べればかなりマシです。外務省は海外で日本企業が攻撃された場合は積極的に対応しますが、それ以外の日本人に対しては冷たいということを、過去の事例が示しています。「自己責任」という概念を用い、そういう場合の犠牲はやむを得ないものだということを、国民に納得させようとします。それが世界基準だという考えが日本に蔓延しています。しかし、自国民が海外で犠牲になった場合、国は最大限できることをするのが世界基準なのです。最近、日本で言われる世界の常識との合致という政治スローガンに、私は胡散臭さしか感じません。


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