新しいシリア反政府派グループが結成さる

2013.11.23


 BBCによれば、7つのシリア反政府派グループが独自の軍を形成しようとしています。

 インターネット上の声明は、アーラー・アル・シャム(Ahrar al-Sham)、ジェイシュ・アル・イスラム(Jaysh al-Islam)、スーカー・アル・シャム(Suqour al-Sham)、リワ・アル・タウヒッド(Liwa al-Tawhid)、リワ・アル・ハック(Liwa al-Haqq)、アンサル・アル・シャム(Ansar al-Sham)、クルド・イスラム戦線(the Kurdish Islamic Front)が段階的な合併に合意したと言いました。

 声明は、新しいイスラム戦線はアサド政権を打倒し、イスラム国家を建設するための、独立した政治的、軍事的、社会的な結成となると言いました。この動きは政府軍が主要な反政府地域への前進をした時に行われました。前月、ダマスカスとアレッポ周辺のいくつかの街が、政府派民兵、レバノンのヒズボラ、イランの革命防衛隊に支援された政府軍により奪還されました。攻勢はカラモウン山脈(Qalamoun mountains)でも開始され、難民数千人をレバノン近くへ避難させました。

 イスラム戦線の結成も、リワ・アル・タウヒッドの指揮官死亡に続きました。アブドル・カディル・アル・サレハ(Abdul Qadir al-Saleh)は月曜日にアレッポ近郊への空襲で受けた傷で死亡しました。

 金曜の礼拝の後、反政府派の抗議者たちが、シリア全土で「殉教者の血が我らを結びつける」と叫びながらデモ行進したと報告されました。

 フェイスブックに掲載された声明は「この独立した、政治的、軍事的、社会的結成は、アサド政権を完全に打倒し、全能の神の支配だけが我々の拠り所と支配者となるイスラム国家を建設することを狙っています」と言いました。

 新しい指揮系統は次のとおりです。

 イスラム戦線の指揮官は、スーカー・アル・シャム隊のアーメド・イザ・アル・シェイク(Ahmed Issa al-Sheikh)です。彼はかつて、自由シリア軍の最高軍事評議会傘下の一派、シリア・イスラム解放戦線(the Syrian Islamic Liberation Front: SILF)の指揮官でした。副指揮官はリワ・アル・タウヒッド隊のアブ・オマル・フレイタン(Abu Omar Hureitan)で、軍事活動の指揮官はジェイシュ・アル・イスラム隊のザーラン・アロウシュ(Zahran Alloush)です。政治部の指揮官はハッサン・アブード(Hassan Abboud)です。彼は独立した強硬派イスラムグループのシリア・イスラム戦線(the Syrian Islamic Front: SIF)の指揮官です。ハラカット・アーラー・アル・シャム・アル・イスラミヤ(Harakat Ahrar al-Sham al-Islamiyya)はその最大で支配的な一派です。

 リワ・アル・タウヒッド隊の公報、アブ・フィラス(Abu Firas)は「ドアはすべての軍閥に向けて開かれており、参加を望むすべてのグループの入口を研究することに取り組んでいます」「すべての派閥の、軍事、メディア、人道支援、行政当局は3ヶ月の移行期間を経て統合されると決定されました」と言いました。

 IHSジェーン社のチャールズ・リスター(Charles Lister)は、このイスラム戦線の軍隊は少なくとも45,000人の戦闘員を指揮するかも知れないと言いました。「これはとても重要な進展です。象徴的、軍事的影響の面で、これはかなりのものになるでしょう」。リスター氏は、このイスラム戦線はよりよく戦場の部隊を代表し、亡命中の国家評議会の指導層を弱体化させると言いました。また、かつては協力し合っていたものの、2つのアルカイダ系グループ、アル・ヌスラ戦線(the al-Nusra Front)とイラクとレヴァントのイスラム国家(the Islamic State of Iraq and the Levant: ISIS)の成長中の影響力に挑戦するかも知れません。


 記事は一部を紹介しました。

 前にも書きましたが、この動きは好ましくはありません。私もリスター氏の見解が事態を言い表していると思います。つまり、話がややこしくなるだけです。やっと結成された反政府勢力を西欧や湾岸諸国がうまく支援できなかったために、別のグループができてしまったのです。このように、革命が起きたとき、すばやく支援体制を確立して、短期間で革命を終わらせるようにしないと、武闘によって傷つく民間人を増やすだけです。

 こういう戦略は国連にも馴染まないものです。国連は中立の立場上、意見が異なる国家同士の連合体だという構造上、積極的な軍事活動を支援しにくい面があります。志を持つ国家レベルでの軍隊の中で、新しい軍事思想として発展すべきものかも知れません。

 よい効果があるとすれば、この戦線がアルカイダ系グループの台頭を防ぐ可能性があることくらいでしょう。


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