最近のシリア内戦戦闘情報

2013.10.10


 alarabiya.netによれば、6月にヒズボラが支援するシリア軍がクサイル(al-Qusair)を奪還したとき、負傷した反政府派をヒズボラ戦闘員が処刑する映像がインターネットに投稿されました。

 レバノンのジャーナリスト、ロクマン・スリーム(Lokman Sleem) は、ヒズボラへのさらなる非難と、アラーではなく、イランとその利益によるシリア侵略を確認することを示すと言いました。しかし、レバノン人の政治アナリスト、カシム・カジア(Kassem Kassir)は、ヒズボラのシリア侵略を、戦争の反響からレバノンを守るためとして擁護し、武装グループは補給路が反政府派に支配されるのを許さないと言いました。

 彼はビデオの信憑性は確認されていませんが、ナスララ師(Nasrallah)は以前に、戦争の倫理は尊重すると誓ったことを指摘しました。スリームはこの誓約を否定しています。スリームは、ヒズボラ戦闘員が以前、死んだシリア反政府派の靴を北レバノンで展示して売りに出したと言いました。

 alarabiya.netによれば、水曜日、ダマスカス南部で反政府派とシリア軍が戦い、大勢が殺されました。

 人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は、反政府軍と民兵とヒズボラに支援されたシリア軍との戦いが、軍用機が地域を空爆した時、フセイニヤ(Husseiniyah)、アル・シヤビヤ(Al-Thiyabiyeh)、ボエヤダ(Bouaydah)で起こったと言いました。「少なくとも22人、大半は指揮官を含む反政府派」が殺されたと、同団体は言いました。同時に、大勢の政府軍が殺されました。

 これよりも早く、この団体は、政府軍がシヤビヤとボエヤダの2つの村の支配力を増強したと言いました。地元調整委員会、現地の武装グループは、大半がイラク人シーア派で構成されるアブ・ファデル・アッバス旅団(the Abu Fadel Abbas Brigade)が、ヒズボラ戦闘員と精鋭部隊と共に大規模な攻勢を行っていたと言いました。

 国営通信社SANAは、政府軍がフセイニヤとシヤビヤの支配力を強化したと言いました。2つの町はダマスカス南部郊外の巡礼所「セイーダ・ジナブ・モスク(Sayyida Zeinab)」の近くに位置します。この地域での衝突は数ヶ月間報告されており、政府軍を支援するヒズボラ戦闘員がこの施設を保護するために派遣されています。

 他に、反政府軍は1ヶ月間の激戦の後、レバノン国境の警護所を占領しました。「反政府軍は2ヶ月の包囲と1ヶ月続いた激戦の後で、ダルア市(Daraa)に近いハジャナ(Hajanah)国境部隊警護所を支配しました」と人権団体は言いました。国境警備部隊の一部は撤退しました。占領のために出た犠牲については不明です。国境警護所は数日前に反政府派が占領した古い警護所に隣接しています。この占領で、反政府軍はいまやダルアの外側からイスラエルが占領するゴラン高原まで、リボン状の領域を支配しています。

 北部のアレッポ市(Aleppo)では、人権団体は、反政府軍が前進していたサラハディン地区(Salaheddin)で戦闘を報告しました。戦闘で10人の兵士が死亡し、反政府軍も死亡しました。

 中部のホムス市(Homs)では、反政府軍は主要な製油所2ヶ所を砲撃し、火をつけました。製油所はすでにその能力の10%しか機能していません。


 記事は一部を紹介しました。

 久しぶりに戦闘情報が入ってきました。

 ヒズボラが反政府派兵士を処刑する映像は、元記事に掲載されています。瀕死の兵士が頭を撃たれ、半分が吹き飛ぶ映像です。こうした光景は、中東の戦争では珍しくありません。 戦場での倫理はまったく守れていません。

 シリア南部は反政府派の手に落ちているようです。中部、北部でも戦闘が続いています。シーア派モスクを守るためにイラク人がダマスカスに派遣されているのは驚きましたが、武装グループ「イラクとレヴァントのイスラム国家」のメンバーかも知れません。

 反政府軍は長いこと、占領した地域からダマスカスに向けて前進できていません。空軍があるためかも知れませんが、こうも停滞期間が続くと、その理由が知りたくなります。湾岸諸国や西欧諸国の軍事支援の成果が出ているように見えないのです。


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