アサド大統領が演説も、周囲の反応は冷淡

2013.1.7


 シリアのアサド大統領がダマスカスで演説を行いましたが、反政府派や関係国などの反応は冷ややかです。

 アサド大統領が演説をすることは、alarabiya.netが事前に報じていました。暗殺を防ぐためか、記事は演説をする時刻を明言しませんでした。

 BBCは演説の中身について詳しく報じました。

 アサド大統領は内戦が人びとを苦しめたと嘆き、苦痛の黒い雲が至る所を巻き込んだと言いました。

 「すべての合意は国民の決断に基づかねばなりません」。彼はシリアの反政府運動を西欧が作りだした操り人形として拒絶し、使用人とではなく、主人と交渉を望んでいると言いました。シリアは外交活動を拒否しませんが、テロリストの考えと同じ人びととは交渉したくないと、彼は言いました。

 「シリアを分断し、弱体化させようとしている人びとがいます。しかし、シリアはより強力になり、独立したままで、これが西欧を動転させています」。

 ダマスカス中心部のオペラハウスで、彼の演説は支持者からの拍手と叫び声が混じり、終わりにはステージの上で彼は取り囲まれました。

 アサド大統領は、反政府派が小麦を国民から盗み、子供たちから学校を奪い、電気と医薬品を遮断したと批判しました。彼はあらゆる国民がそれぞれの力に応じて国を守るように要請しました。

 「我々はいま、あらゆる意味で戦争状態にあります。この戦争は少数のシリア人と多数の外国人を使い、シリアを狙っています。だから、これは国家を守るための戦争です」。

 アサド大統領は危機を解決するためのステップを述べました。

  • 外国勢力が彼が「テロリストグループ」と呼ぶものを武装させることを止めます。
  • その後、シリア軍は軍事活動を停止し、国家的利益を守るための権利を保留します。
  • その後、政府は、国家的対話ための会議に携わる、彼の言葉で「シリアの個人と政治的集団」とよぶものと接触します。
  • この会議は、議会選挙と新政府をもたらす国民投票を行う国家憲章を制定しようとするものです。

 alarabiya.netによれば、反政府派はアサド大統領が新イニシアティブと呼んだものを軽蔑と共に拒絶しました。

 反政府派公報、ワリド・アル・ブンイ(Walid al-Bunni )は「我々は国家連合を創設することを求めましたが、現在、60,000人以上の殉教者がいます。シリア人は、専制的政権を強化するために、これらすべての犠牲者を出したのではありません」と言いました。ブンイは、この演説は、シリア国民の願望に合致し、アサド一家の政権の横暴を終わらせる政治的解決を生む本当の努力に取り組む国際的コミュニティに対して、直接的に指図をしましたと言いました。アサドは、彼の政権の安定を取り戻し、彼に支配権を握らせない、いかなるイニシアティブも受け入れないでしょう」とブンイは言いました。大統領は、反政府派とのいかなる対話の可能性も無視したと、彼は付け加えました。「彼は自分で選んだ交渉のパートナーを望み、シリア国民の願望に合致したり、最終的に彼の出国と政権の解体につながる、いかなるイニシアティブも受け入れないでしょう」。

 イギリスのウィリアム・ハーグ外務大臣(Foreign Secretary William Hague)は、ツィッターで「改革の空手形では誰もだませません」「シリアを飲み込む死と暴力、抑圧は、彼自身が作り出したものです」。

 欧州連合外務主任、キャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)は、ブリュッセルは演説に目新しいものがあるかを注意深く見ていますが、アサドが退陣し、政治的移行を可能にするという立場のままですと言いました。

 トルコのアーメト・デビュトル外務大臣(Foreign Minister Ahmet Davutoglu)は、アサド大統領は演説で単に空手形を繰り返しただけだと言い、速やかな政権以降を要請しました。「彼の意見は彼がずっと言ってきたことの繰り返しです。それは彼が我々にした約束と変わりません」「アサドはすでにシリア国民の代表権はなく、彼の言葉は説得力がありません。移行期間はシリアの代表との対話を通じて、すばやく完成される必要があります」。


 記事は重要な部分だけを紹介しました。

 予想通りの演説で、予想通りの反応があっただけでした。やるだけの意味がない演説です。

 特にコメントするまでもない展開です。久しぶりにアサド大統領の生の声が聞けるかと思いましたが、自分が置かれている状況を分かっていないことが判明しただけでした。国際社会がテロの根源と言い切ったことは、各国からの支援を完全に失わせたと言えます。彼が交渉下手であることを連想させることです。


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