アルジェリア軍が武装勢力を攻撃

2013.1.18


 今朝になって、アルジェリア軍が武装勢力を攻撃したという信じられない報道が飛び込んできました。人質の安否については、情報が錯綜しています。各記事を比較してみることしか、状況を把握する方法はありません。

 military.comによれば、アルジェリア軍は武装勢力が頑迷で、人質と共に脱出しようとしたので、介入を強要されたと言いました。通信大臣は木曜日の軍事作戦で犠牲者が出たと言ったものの、詳細については言いませんでした。国営ラジオでモハンド・サイド・オウビレイド大臣(minister Mohand Said Oubelaid)は、「かなりの数の人質が解放され、かなりの数のテロリストは無力化され、我々は少数の死傷者について遺憾に感じますが、多数ではありません」「残りの人質を解放するための作戦が(施設の)内部で進行中です」と言いました。

 モーリタニアの新聞で声明を出してきた覆面旅団は、人質と共にイン・アメナス(Ain Amenas)のエネルギー施設から逃げようとした時に、アルジェリア軍のヘリコプターが銃撃をはじめたと言いました。彼らは人質35人と武装勢力15人が地上掃射で死亡し、7人が生き残ったと言いました。

 アルジェリアの国営通信社は、600人の地元労働者が解放され、外国人の半分が救出されたと言いました。

 アイルランド人の人質1人が無事を確認されました。

 アルジェリア軍が攻撃したとき、アメリカの無人偵察機が上空にいました。アメリカは人数が数十から数百と様々に言われる軍事顧問をアルジェリアに提供しようとしましたが、アルジェリア政府は拒否したと、匿名の米当局者は言いました。

 覆面旅団の公報は、人質35人が地上掃射で死亡し、ベルギー人3人、アメリカ人2人、イギリス人1人、日本人1人を含めた7人が生き残ったと言いました。襲撃の前日早くに、アルジェリア治安担当者は20人の人質が脱出したと言いました。彼は攻撃の後での電話には返信しませんでした。

 ノルウェーのStatoil社は、アルジェリア人社員は無事ですが、ノルウェー人労働者は不明だと言いました。日本の報道機関は少なくとも3人の日本人が人質の中におり、マレーシアは2人だと確認しました。

 アルジェリアのダホ・オルド内務大臣(Interior Minister Daho Ould)は、テロリストがマリから来たという主張を否定しました。彼は約20人の武装した男たちはモクタール・ベルモフタール(Moktar Belmoktar)の指揮下で戦うアルジェリア人だと言いました。

 フランスの前情報部長官、イーブ・ボンネット(Yves Bonnet)は、作戦がフランスのマリへの攻撃に関連しているという考えを否定しました。「それは事前によく練り込まれた作戦でした。見事で多くの準備を必要とします。それはまったく即興の作戦ではありませんでした」「単純に、これらの多くの人びとが砂漠に入るのには数日を要します」と彼はラジオ番組で言いました。

 alarabiya.netによると、人質の安否についてアメリカはアルジェリアに説明を要求しています。

 ジェイ・カーニー報道官(spokesman Jay Carney)は、犠牲者の人数と身元を特定しようとしていると言いました。彼は、人質事件とアルカイダの関連は現在は確認されていないとして、ワシントンは事件の背後に誰がいるのかを探ろうとしていると言いました。

 アルジェリア軍は木曜日にガス施設で空襲と地上攻撃を開始し、約50人を殺しました。その大半は人質だったと、残りの人質を殺すと脅す誘拐犯は言いました。

 アルジェリア国営通信社は約600人の人質が解放されました。西欧の人質についての報告はありませんでした。

 モーリタニアのANI通信社は、少なくとも34人の人質と14人のアルカイダ系武装勢力がアルジェリア軍の攻撃で死亡したと報じました。記事は独自に確認できていません。ANIは人質7人がまだ生きているとも言いました。誘拐犯はこれらの人質がベルギー人3人、アメリカ人2人、日本人1人、イギリス人1人だと言いました。

 BBCによれば、アルジェリアの国営通信社APSが、軍事作戦で人質4人が解放され、多くが殺されたと言いました。

 アルジェリア兵士は、誘拐犯が水曜日に占領したイン・アメナス近くの施設を包囲していました。犯人の言葉を引用した報道は少なくとも人質34人と誘拐犯14人が死亡したと言いました。武装勢力はANIに、攻撃後も7人の外国人人質が生きていると言いました。

 約600人のアルジェリア人労働者と外国人の人質4人(スコットランド人2人、フランス人1人、ケニア人1人)が作戦の間に解放されたと報じました。解放されたアイルランド人は、彼の家族と話をしたとアイルランドの外務大臣が言いました。

 アルジェリア軍は、施設から逃走しようとした、登場者数が不明の2台の車両を狙いました。武装勢力は地元メディアにアルジェリア軍が空から攻撃したと言いました。

 約30人のアルジェリア人と15人の外国人がアルジェリア軍が介入する前に施設から逃げたと報告されました。


 記事は一部を紹介しました。

 まったく想定していない結果となりました。

 記事を総合すると、結論はできないものの、次のような流れだったという推測ができます。

 人質の一部が自力で脱出を始めました。これは人質が多すぎて、犯人の監視が行き届かなかったためかも知れません。これを見た犯人たちは残りの人質を連れて施設から逃げ出し、それをアルジェリア軍が攻撃したという流れです。

 これが事実なら、ある程度は軍事介入がやむを得ない状況と言えます。犯人が脱出するにも、アルジェリア軍が攻撃するにも、タイミングが早すぎる理由がこれで説明できます。

 武装勢力が人質35人が殺されたとか、7人がまだ一緒にいるという話は信憑性が薄いように思います。これはアルジェリア軍の攻撃を止めさせるために作られた話のようにも見えます。人質の安否に関しては、まだほとんど確認が取れていないと考えなければなりません。

 人質の安否は不明ですが、これを書いている最中に日本人3人と連絡が取れたという速報が入りました。

 安倍総理がアルジェリアに作戦中止を申し入れたといいますが、作戦進行中に申し入れたのなら、意味のない話です。進行中の作戦を途中で止めるなど前代未聞です。何か言わなければならないのでしょうが、軍事を知る者なら言えないセリフです。

 今朝のNHKのニュースで、イン・アメナスの町とヘリコプターのイラストを合成した映像が流れました。上に引用したBBCの記事で、昨日、私が紹介した場所が現場であることが確認されました。確かに、イン・アメナスで事件が起きたと報じられていますが、実際には現場はこの町から40km以上離れています。NHKは日本人が人質になっているのに、この程度の調査しかしていないという点に、私は深く失望しました。


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