2012年の米軍人の自殺率が過去最大に

2013.1.15


 military.comによれば、昨年、米軍隊員の自殺者は349人で、アフガニスタンでの戦死数を大きく上回りました。

 米国防総省は昨年、現役兵349人が自殺し、前年の301人を上回り、同省の325人という見積もりを上回りました。昨年の自殺者は国防総省が2001年に自殺を追跡し始めてから最高となり、昨年、アフガンで戦死した295人を上回りました。

 軍人の自殺は2006年に増加し始め、2009年には2年間の横ばいをみる前に310人まで急上昇しました。イラク戦が終了し、オバマ政権がアフガンで撤退を進めている時に増加を見るのは驚きをもって受け止められています。

 昨年の陸軍の自殺者は182人、2年間自殺が減っていた海兵隊は2倍の48人でした。海兵隊の最悪の年は2009年、52人の自殺者を出した時でした。空軍は16%上昇して59人、海軍は15%上昇して60人でした。

 各事例の正式な病理学の報告が完成するまで、数字はすべて暫定的なものです。

 軍の自殺研究者で、ユタ大学で社会行動科学部の学部長を務めるデイビッド・ラッド(David Rudd)は、加速度的なペースで増える自殺する兵士には、鬱病とPTST、楽物乱用を被ったイラクとアフガンの帰還兵と、戦地には行っていないものの人間関係のトラブルと財政問題や法的問題に直面した者という2つの主要なカテゴリがあると言いました。彼はさらに自殺者が増加するかも知れないと予測します。

 国防総省は自殺率が増加しているものの、民間人の下にあると言います。17〜60歳までの男性民間人の自殺率は2010年に100,000人あたりで25人でした。軍隊内では2012年に100,000人あたり17.5人でした。

 2011年に自殺した301人の軍人の分析では、離婚した隊員の自殺率は結婚していた者の55%増しでした。軍人の自殺の60%は火器を用いて行われていて、ほとんどの場合、軍が支給した物ではなく、個人所有の武器で行われています。


 時間がないので、数字に関する部分だけを紹介しました。

 繰り返し米軍の自殺者について紹介しているのは、こうした傾向は他の武装組織でも起こり得ることを強調したいからです。日本では、警察官の自殺がよく報じられます。自衛官の自殺も多いはずですが、あまり報道されません。皮肉にも米軍の情報の方がより簡単に入手できます。

 自殺の原因については、何とも理由が分からないのでコメントはしません。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.