特殊作戦界は暴露本に批判的

2012.9.6


 military.comによれば、特殊作戦軍の長はマット・ビソネット(Matt Bissonnette)が書いたオサマ・ビン・ラディン急襲の本に機密情報が含まれると言いました。

 ショーン・パイブス海軍少将(Rear Adm. Sean Pybus)は「任務に関して詳細が公開されること」とシールズの訓練と作戦についてその他の情報を売ることは軍とその家族を危険にさらすと言いました。「精鋭部隊は生涯目立たず、規則に従わなければならず、我々は間違いなくこのように登場してはなりません」とパイブスは自らの指揮下にある約8,000への書簡で書きました。「我々はこれよりもずっと多くを我々の指揮系統に負っているのです」。書簡はAP通信が入手しました。

 パイブス少将はジョージ・リトル広報官(George Little)よりもずっと率直でした。「我々は、軍務から不適切な金銭的、政治的、名声上の利益を求めないことで、軍の内外の人たちに適切に影響力を及ぼすかについて、すぐに考え直さなければなりません」「我々はみな、多くの物を得たり、失ったりします」「数週間の内に、我々はこの挑戦に対して行動をとるでしょう。そして、私はこの努力における我々のコミュニティのリーダーシップと支援に感謝します」

 ビソネットの共著者、ケビン・マーラー(Kevin Maurer)は火曜日の声明の中で、ビソネットは、シールズの任務を弱体化させることを一つもせず、元同僚を危険にさらさないという願望に忠実であることについて極めて注意深かったと言いました。

 military.comによれば、諜報と特殊戦コミュニティの者たちは、ビソネットの本は特殊部隊の掟を破ったと言います。

 「私は著者がどんな機密情報も漏らしていないことを望みます。彼は(政府に)事前評価させていないからです」と、タンパ(Tampa)のマクディル空軍基地(MacDill Air Force Base)の特殊作戦軍の元訓練主任、スティーヴ・ハワード(Steve Howard)は言いました。「特殊作戦コミュニティは、開示しないと約束した情報を公開するメンバーを快く思いません」。

 「私がこの本について聞いたいくつかのことですが、彼を探す者たちがでるかも知れません。私はアメリカ人のことを話しているのではありません。別の側の者のことを言っています」と元シールズのドン・トッシー(Don Tocci)はCBS傘下のWBZ-TVに言いました。アルカイダのウェブサイトは、著者の写真を掲載し、殺害を要請しました。ビソネットはマーク・オウエン(Mark Owen)のペンネームで書きました。FOXニュースが最初に彼をビソネットであることを明らかにし、あとでAP通信によって確認されました。一部の批評家は、本が大統領選挙に影響することを目的としていると言いました。CBSの番組「60 Minutes」のインタビューで著者はこれを否定しました。CBSは著者をペンネームで呼び、身元保護を続けています。「この本はまったく政治的ではありません」「これは9月11日に関する本で、9月11日に基礎を置く必要があります。政治の舞台に持ってこないでください。これはまったく政治的ではないのですから」。

 しかし、元シールズでビソネットの友人のブランドン・ウェッブ(Brandon Webb)は、本が政治的な理由で使われるだろうと言いました。「事前評価がなかったこと、その適時性、耳にすることすらなかったことは大きな問題です。私は彼が頭の中でこの本を政治的にしたくないと思っていることを確信しますが、本の売り上げを推進しようとする出版社を得れば、彼らは11月の大統領選挙の前に出版するのが自然だとに気がつきます」と、「Red Circle」の著者は言いました。

 36歳のビソネットは青銅星章5回と名誉負傷章1回を得て、4月に現役を去りました。


 記事から既知の部分などは省略しました。

 この記事を読んで、ビソネットが政治的な目的のために本を出したと思いますか?。それは民主党に利益があることだと思いますか?。

 私はむしろ保守系メディアのFOXニュースがビソネットの実名を暴露したことの方が政治的だと思います。FOXニュースは共和党系メディアとしても知られています。そこがビソネットの名前を報じたのは、アルカイダの首領を殺した手柄に傷をつけることで、オバマ政権の足を引っ張ろうという意図があったとしか思えません。

 こういう政治的意図と特殊作戦軍コミュニティからの批判は別に分けて考えるべきです。私も本を読んでいないので、内容については何とも言えません。

 CBSのホームページ(上のリンクでアクセスできます)で分かるように、インタビューでビソネットは素顔を見せていますが、 メーキャップアーティストが彼の容貌を変えるために雇われたということです。ビソネットが可能ならビン・ラディンを拘束する作戦だったと述べている点は興味深く感じます。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.