オバマ政権が領事館襲撃を軽視?

2012.9.26


 military.comによれば、リビア領事館の攻撃を軽視しているという共和党の批判をオバマ政権は否定しました。

 広報官のロバート・ギブズ(Robert Gibbs)は、路上デモに起因する自然発生的な事件という見方は現時点で得られる情報から正確だと言いました。事件当時、国連米大使のスーザン・ライス(U.N. Ambassador Susan Rice)は、機会主義的な民兵による事前に計画されない攻撃だと言いました。共和党はこの見方を嘲笑し、攻撃は抗議者を隠れ蓑に利用したテロリストによって、事前に計画されたと言いました。彼らはライス大使とオバマ政権を、外交官の安全がいい加減であることを隠すために事件を軽視していると批判しました。

 しかし、ギブズ広報官は「Fox News Sunday」で、テロリズムだという主張を裏づける証拠は後になっても浮上しなかった、と言いました。「答えは、その時点で(ライス大使が)知っていたことと、我々がさらに知り、さらに知り続けようとしていることに基づいています」「一番重要なのは、我々が情報の根拠と、何が起きたか、何がこの事件を起こし、また起こさなかったのかをつかむことです」。


 大統領選挙が目前なので、この程度の批判は当然あるでしょう。それ以上の意味はありません。

 共和党寄りのテレビ局に出演して批判を一蹴するのは、ギブズ広報官の仕事でもあります。この出来事で、批判が共和党から来ていることが明確になりました。また、現時点でもアルカイダが事前に計画したという証拠がないことが確認されました、

 このように、報道を何でも鵜呑みにするのではなく、自分で考察し、結論を出すことが重要なのです。先日も、千隻の中国漁船が尖閣諸島付近へ向かったという途方もない報道がありましたが、漁船は尖閣諸島に到達しませんでした。中国の国営ラジオ局「中国中央人民放送」が報じた数字が独り歩きしたのが真相でした。私は最初から馬鹿げた話と思っていました。中国から出る数字は、誇張されていることがあるからです。

 東京都が集めた寄付金は結局、尖閣諸島を購入するためには使われませんでした。こうなることも事前に予測できたことです。民主党が与党になる前から、尖閣諸島への上陸を国は認めておらず、測量ができないことから東京都が島を購入することは不可能だったからです。それにも関わらず、この不況下で、15億円近くの寄付金を送る人たちが現れました。実現しそうにないことに金を投じる人たちがこれほどいるとは、私には驚きでした。私は石原慎太郎都知事が人気取りのために尖閣問題を利用しているとしか見ていません。しかし、こういう扇動的政治活動に共鳴する人たちが多くいるということに、私は強い不安を感じます。

 頭にくるのを止め、常に情勢分析からはじめるべきです。


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