エジプト誌がアサド大統領にインタビュー

2012.9.22


 BBCによれば、シリアのアサド大統領がエジプトの週刊誌で、アラブの春は混乱をもたらしただけで、反政府派は勝利できないと言いました。

 彼はシリア政府がリビアのカダフィ大佐のように崩壊することはなく、対話が唯一の解決だと、アル・アラム・アル・アラビ(al-Ahram al-Arabi)は報じました。同誌はアサド大統領がインタビューで述べたと書きましたが、シリア当局は非公式に話したと言いました。
 金曜日の記事は、アサド大統領とその政権が進んでいる方向からぶれる兆候がないことを示しました。「武装グループ国家に対してテロリズムを行います。彼らは社会の中で人気がなく……最終的に勝つことはないでしょう」。彼の政府は崩壊せず、変化は外国の干渉や指導者の解任からは起こりません。リビアの経験の繰り返しはシリアでは起こらないと、彼は示唆しました。アラブ政権を打倒することは、混沌を作り出すことと同じで、自由、民主主義、社会の不公正を終わらせるためには働かない、アサド大統領は言いました。「方程式の両側は等しく、政治的対話が唯一の解決です」「しかし、暴力は許されません……国家は我々と戦う者たちに直面する中では手を組みません」。

 アサド大統領は反政府派を支持したサウジアラビアとカタールの役割についても容赦ありませんでした。「彼らは長い貧困の後に、突然裕福になりました」「彼らはその富で地理的、歴史的、国家的な役割を買うために使えると思っているのです」。

 金曜日遅く、シリアのウムラン・アル・ズビ情報大臣(Information Minister Umran al-Zubi)はアサド大統領が同誌のインタビューを受けたことを否定しました。ズビ情報大臣は大統領は9人のエジプト人記者と非公式の会談を行い、彼のコメントは文脈を無視して使われたと言いました。


 実際のインタビューの中身は知りようがないものの、複数の記者と長時間のインタビューを受ければ、話は散漫なものになり、記事にどう書かれるか分からないというのは常識です。

 湾岸戦争で米空軍のマイケル・J・デューガン大将が同じ間違いをやって解任されたことがあります。彼は移動中の飛行機の中で長時間のインタビューを受け、それが報じられたのです。発言の中には政府の方針ではない、彼自身の放言に近い見解も含まれており、それが不適切とされました。最近では、アフガニスタンの指揮官だったスタンリー・マクリスタル大将が記者を帯同させて、幕僚との雑談までを記者に聞かせた結果、ブラックジョークからオバマ大統領の批判までを書き立てられたために解任されました。

 危機の最中に、こんなお気楽なインタビューを受けている点で、アサド大統領は変わり者なのかも知れません。今更訂正しても遅く、この記事はほかのアラブ諸国の怒りをさらに買うことになります。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.